text:RM
「貨物時刻表2024」掲載の「機関車・電車配置表」によると、五稜郭機関区に配置されていたDF200形901号機が除籍されていることが判明しました。
この901号機、近年は長らく苗穂車両所に留置され動くことはなかったのですが、ついに再起ならず…ということが明らかになったわけです。
川崎重工(当時)で落成直後に取材された901号機。RM105 号の表紙を飾りました。
さてこの901号機、試作機ならではの特徴が多かったことでも知られます。まずヘッドライトが上部に4灯並んで配置されており、上下に分散した量産機と最も趣を異にする部分です。また、前面部分の折れ曲がり方にも差異があり、901号機はテールライトのある面が地面に対して垂直面となる3面構成。量産機はその部分を単純な傾斜面同士の突き合わせとした2面構成となっています。
レイル・マガジンでは105・106号(1992年6・7月号)でかなりのページを割いて紹介しておりました。DF50形以来の電気式DLであったことが、当時如何に画期的であったか…。この電気式が採用された理由は、
・1200kw級の高出力エンジンに対応できる液体変速機の開発に時間がかかること。
・VVVFインバータ制御と誘導電動機駆動による保守の容易化および高効率化
が挙げられていました。
実際に搭載されたエンジンは、ドイツのMTU社製V形12気筒方式のもので、出力は1250kw/1700ps。これは既存のDD51に対しておよそ1.5倍の出力となります。(両機ともそれを2基搭載)。
およそ2年間に渡る長期試験を経て、1994年9月に量産車(0番代)が登場。以後は50・100・200番代という区分が生じていますが外観には顕著な差異は生じておらず、試作機での経験が量産機登場にあたって十分に活かされたのだと見ることができます。
苗穂工場試運転線を往復するDF200-901号機。
‘12.2.8 苗穂工場 P:原 将人(鉄道投稿情報局より)
量産機登場後も901号機はある時期まで量産機と共通運用として道内の貨物列車牽引に活躍していましたが、いつしか一線から外れ、函館貨物駅構内での入換仕業に用いられるようになりました。一説によると機器の構造・配置に量産機との差異があり、すべての乗務員にそれに対応する訓練を施すことが不合理と判断されたため、共通運用から外されたとのことです。
本線を走った最末期の頃と思われる貴重な写真。
‘20.8.8 函館本線 仁山~新函館北斗 P:丹野功一(鉄道投稿情報局より)
‘20.10.10 函館本線 函館貨物 P:松下直之(今日の一枚より)
そして前述の通り、近年は苗穂車両所で留置がつづいておりました。まだ解体されてはいないようですが、登場が華々しかっただけにせめて静態保存されれば…という思いを抱くところです。
■
さてそんなディーゼル機関車の動向もすべてわかる記事が掲載されているのが「レイル・マガジン456号 貨物列車2024」です。
・貨物列車の華は何と言っても機関車! 機関車の運用や人気のあるナンバー、特徴ある列車について機関区ごとに解説。
・3月のダイヤ改正で運用が壊滅的に減少したEF65。唯一の長距離運用となる5087レを光線の良好な関西地区で追いかけたギャラリー記事。
・貨物列車機関車運用MAP
・応募点数2000点以上! 読者投稿写真からの傑作選カラーグラフ
特別付録は、今回はいつもと趣向を変えて、鉄道写真撮影地ガイド「お立ち台通信貨物列車Version2024」を制作しました。特集は中央西線のEF64で、その他にも北海道から九州まで20の貨物列車に好適なスポットを紹介しています。
さらに弊社直販のネコパブショップでは、A2判両面印刷ポスター! EF65PF最後の長距離運用となった5087レと、新鶴見信号場で見事に並んだ4本の列車の姿をフィーチャーいたしました。