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【なぜ「レインボー」?】客車と一緒にイメチェン!ド派手な国鉄機関車たち

2024.04.26

text:鉄道ホビダス編集部

▲虹色じゃないのに「レインボー」「虹釜」と呼ばれるEF81 95号機。その理由とは…?

‘22.11.18 東北本線 大宮 P:玉木裕一
(鉄道投稿情報局より)

 国鉄時代の機関車といえば、動力や電源方式により色が定められていました。一部では専用のカラーリングが与えられることもありましたが、直流機なら青とクリーム色、ディーゼルは朱・グレー・白の塗り分け…のようにほぼ固定されていました。ところが国鉄も末期になり、ジョイフルトレインや豪華列車が各地で盛んに登場し始めると、機関車の塗装も一変します。

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■側面に形式名を大書き!「レインボー」の名称は客車由来です

 側面に大きく「EF81」や「EF65」と書かれた赤色の機関車をご存知でしょうか。鉄道を知らない人にとっては謎の文字列かもしれませんが、これはそれぞれの機関車の形式名をデザインとして取り入れたもの。この塗装の機関車は、国鉄最末期の1987年3月に落成したジョイフルトレイン「スーパーエクスプレスレインボー」の指定機関車。客車の赤白塗装に準えて、赤色ベースに白抜きされた形式名を車体に入れました。指定されたのはEF65 1019号機とEF81 95号機。その後EF65 1019号機は廃車となりましたが、後継にEF65 1118号機が指定されました。

 いずれの2両も「スーパーエクスプレスレインボー」廃車後も機関車だけが活躍していましたが、レイル・ファンの間では今も「レインボー」と呼ばれています。EF65 1118号機は惜しくも2015年に走行中故障したのがきっかけで廃車されてしまいましたが、EF81 95号機は今もなお健在です。

■青白のコントラスト!最盛期は8両の大所帯に!「ユーロライナー色」

 こちらも国鉄末期の1985年に登場した12系改造のジョイフルトレインです。名古屋鉄道管理局向けに改造された車両で、民営化後はそのままJR東海の所有車両となりました。このユーロライナーにも客車と合わせたカラーリングの指定機関車が登場します。当初はEF64 66号機とDD51 592号機のそれぞれ1両ずつが塗装変更されましたが、JR東海となった後には最終的にEF65 0番代が3両(105号機・106号機・112号機)、DD51が追加で2両(791号機・1037号機)、EF64が追加で1両(35号機)が変更され、合計8両もの機関車がこのユーロライナー色となりました(DD51 592号機は民営化前に廃車)。なお、現在ではいずれの機関車も廃車となっており、今では見ることができないカラーリングです。

■おもちゃのようなカラーリング EF81の「カシオペア色」

 1999年7月から運行が始まった上野〜札幌間の寝台特急「カシオペア」。客車には新開発のE26系が投入され、同区間を走った北斗星に負けず劣らずの豪華列車として名を馳せました。その「カシオペア」登場当時の本州担当機関車であるEF81は専用塗装をまといました。その色というのは白地に前面は黄色、側面には青とオレンジのブロックパターンを配し、なんとも明るい印象でした。
 運行開始に合わせて3両(79号機・89号機・92号機)がこの塗装とされ、2008年には99号機がこの塗装に塗り替えられた後、入れ替わりで89号機が2009年に廃車となります。その後EF510 500番代が投入され、余剰となったEF81のカシオペア色は貨物列車や工事臨時列車の牽引などに使用されましたが、2012年までに全車廃車となり、こちらも現在では見られないカラーリングです。

 すでに当時「カシオペア」を牽引したナンバーは全廃されていますが、 「カシオペア」自体は団体列車を中心にEF81牽引で今もなお活躍中ということもあり、この塗装も復刻されて欲しいものですね。

■今も続くシックなダークグリーン「トワイライトエクスプレス色」

  1989年に大阪〜札幌間を結ぶ豪華寝台特急としてデビューした「トワイライトエクスプレス」。こちらも本州用機関車には専用色が与えられました。担当したのはEF81で、ダークグリーンをベースにイエローの帯が入るという、客車と同じカラーリングとされました。
 当初は4両(103号機・104号機・113号機・114号機)に施されましたが、後に2両(43号機・44号機)が追加で塗り替えられ、最盛期は6両体制でしたが、2013年には44号機が廃車、2015年には一般運用の「トワイライトエクスプレス」が廃止され、以降は「特別な『トワイライトエクスプレス』」や工事臨時列車の牽引に充てられました。その後これらの車両も2023年までに全廃されました。なお103号機に関しては京都鉄道博物館で保存されており、その勇姿を今も見ることができます。

 そして「トワイライトエクスプレス色」を語る上で忘れてはいけないのがEF65 1124号機の存在です。この機関車は「トワイライトエクスプレス」の一般運用が終了した2015年11月に塗装変更されたもので、主に団体列車「特別な『トワイライトエクスプレス』」の山陽本線下関〜京都間の牽引を担当しました。この列車自体は2016年3月で運行終了し、客車も廃車となったため、「トワイライトエクスプレス」を牽引したのはほんのわずかの期間でしたが、専用塗装のEF65 1000番代と「トワイライトエクスプレス」の組み合わせはレイル・ファンたちの脳裏に焼き付きました。そしてこの1124号機は2024年4月現在も在籍しており、主に工事臨時列車の牽引などで活躍を続けています。

 客車のイメージに合わせて国鉄時代のカラーリングから一変、華やかな装いとなった機関車たち。客車自体が消えた後でも、塗装でその当時の面影を今に伝えています。

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