text & photo:RM
取材日:’24.4.16 場所:阪急電鉄正雀車庫
取材協力:阪急電鉄
阪急電鉄では、京都線に導入予定の新型車両2300系を報道公開しました。この系列には同社初の座席指定サービス「PRiVACE」(プライベース)が組み込まれています。その車両を中心に各部をご紹介しましょう。
■外観
編成は8両編成で、1両組み込まれる「PRiVACE」を除くと片側3扉車体。アイボリーとマルーンの塗り分けも既存車を踏襲しているのが分かります。前面窓の下辺が両端に向けて切れ上がっていくデザインは阪急では初になると思われます。
そしてこれが注目の「PRiVACE」こと2350形(付随車)。中央部に両開きの1扉という、あまり他に例のない扉配置となります。また座席の列ごとに窓が分けられ、その面積が意外に小さいことも印象的です。さらに腰部にゴールドのラインが1本通されています。
■「PRiVACE」車内
「自分だけの移動時間はじまる」というキャッチフレーズにある通り、日常の移動時間をプライベートな自分時間へ、現代の価値観に合わせた「安心・快適」を提供するのが「PRiVACE」のコンセプト。特別な空間は外観からも特徴的であった出入り口から始まり、その車内側はひし形の窓から入る外光に加え、上品な彩色をダウンライトが彩ります。行き先表示器が一見見当たらないようですが、実は扉横の窓の上部にフルカラーLCDディスプレイで組み込まれています。
デッキ部から前後に分けられた車室は阪急伝統の木目調の内壁を持ち、そしてシートは2+1列の3列配置。座席モケットはもちろんゴールデンオリーブ色を踏襲していますが、1席ごとに大き目の仕切りがあってまさにプライベート空間を意識した構成と言えるでしょう。印象的なのは頭部側面の張り出しが大きいことで、周囲の視線が気にならずにくつろげるデザインになっています。また足元も広々しており、リクライニングには座面が連動する機構も採用されています。肘掛から大型のインアームテーブルが出てきて腰前でつながるカタチになるのも、喫茶やパソコン仕事に便利になることでしょう。コンセント、無料Wi-Fiも提供されています。
このほか、大型荷物置き場や車いすスペースも設置されています。
■一般車車内
9300系以来となるセミクロスシートが採用されています。車端部はロングシート、または車いすスペースとなっているほか、優先席はモケットを赤系に変更しています。またロングシートでは座席中間仕切りに手すりを設置し、足腰の弱い方へのサポート、もしくは車内移動時の安全を図っています。
■デビューは7月
「PRiVACE」の利用は500円というリーズナブルなもので、専用のWEBサイトから予約を行います。お得なポイントシステムも準備中です。また、2300系が所定数揃うまでの暫定措置として、既存の9300系に2350形を挿入してサービス性を確保するとのことで、サービス開始時点では2300系1本、9300系6本という陣容となります。