text:MSかぼちゃ(X:@MS3167)
photo:日本かぼちゃ電車学会
111系・113系・115系といった直流近郊型電車の研究を活動のメインとし、鉄道系サークル「日本かぼちゃ電車学会」の主宰も務め、動画や同人誌でその成果を発表しているMSかぼちゃさんの新連載!「徹底研究!国鉄近郊型電車113系115系」。今回のテーマは岡山地区で活躍する113系オカB編成についてご紹介していただきました。115系とともに、全国的にその数を急激に減らしている113系一族ですが、その中でも岡山地区で活躍する113系は一見、115系の陰に隠れがちです。ですが掘り下げて見てみると、これもまた趣味的に面白い編成群なのです(編集部)。
岡山地区の在来線では、2024年現在も様々な国鉄型車両が活躍しています。個性的な面々が多く存在する中、B編成を名乗る113系は主力である115系の影に隠れており、あまり目立つことはないように思えます。そんな彼らですが、詳しく見てみると他の車両にも負けず劣らずな特徴を持っていることが分かります。今回はそんな「隠れた個性派」113系オカB編成について紹介します。
【写真】意外に特徴が多いのが魅力!岡山地区の113系たちを写真で見る!
岡山地区における113系の役割は、主力として活躍する115系の補完であり、その歴史は25年ほどとそう古くありません。元々は京都所から借り入れた湘南色の車両を、さらに昔には網干区や日根野区から借り入れた車両を使用していましたが、数度にわたる車両入替や編成組替、さらには数年の空白期間を経て、現在の組成に変化しています。
また、当初は4両編成が数本のみの配置であった本数も、227系0番代の投入で広島地区から岡山地区への直通運転が減少し、岡山区が受け持つ列車の本数が増えた影響で2016年に4両編成7本、2019年には4両編成13本まで増加し、地味ながらも一定の存在感を放つようになりました。
しかし、2023年7月から岡山地区に導入された227系500番代による置き換えでその本数は大幅に減少し、2024年3月改正時点で4両編成が6本のみの配置となっています。
現在岡山地区で活躍している113系は、全車が広島地区から転属してきたものですが、更に元を辿ると阪和線や福知山線、さらには東海道・山陽(大阪快速)本線など、関西地区の各線で活躍していた車両が広島に集結したものです。車両によって経歴が大きく異なるため、更新メニューや番代区分などの車両形態も多岐にわたり、少数派ながらも個性的な車両たちとなっています。
▲多く存在した凹凸編成であったが、113系ではB-08編成が最後の存在となった。
’18.10.22 B-08編成 山陽本線 三原〜糸崎
その中でも、B-08編成は先頭車が中期型の113系0’番代、中間車は後期型の113系2000番代で構成された混成編成です。さらに、車両の更新メニューも先頭車が体質改善40N、中間車が体質改善30Nの2種類が混在しており、車体各部に大きな差が存在する凹凸編成になっています。特に113系の体質改善30N車はこの中間車2両が最後の残存個体であり、貴重な存在となっています。
またB-18編成も同様に、先頭車が113系0’番代、中間車が113系2000番代で構成された混成編成ですが、こちらは更新メニューが全車体質改善40Nで統一されているため、中期型と後期型で異なる窓配置がよりわかりやすくなっています。
残る4本は全車が113系2000番代の体質改善40N車で統一されていますが、その中でもタイフォンカバーの有無や信号炎管などに差異が認められるため、完全に同じ形態の編成は二つと存在しません。
2024年3月現在、岡山地区の113系は4両編成6本が在籍しており、山陽本線を中心に運用されています。連解運用こそなく全列車が4両編成で運用されていますが、朝ラッシュを中心に姫路駅にも入線し、かつて京阪神地区で113系が運用されていた歴史を今に伝えています。
▲運用によっては山陽本線・赤穂線の近畿エリアにも乗り入れる。223系などの関西エリアの車両とも顔を並べることも。
’23.06.10 B-12編成 山陽本線 網干
ですが113系は岡山地区の主力を務める115系とは抑速ブレーキの有無などをはじめ各部に差異が存在するほか、3両編成が主体の115系と異なり、小回りの利かない4両編成しか存在しないことからか、置き換えは優先的に行われているようです。
かつては関西地区の近郊輸送も務めた個性豊かな黄色い113系たち。今となっては貴重な形態となった車両も多く存在しますが、元気な姿が見られるのも、あとわずかかもしれません。