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いまさら聞けない?新幹線と在来線の車両ってどう違うの?

2024.05.30

text:鉄道ホビダス編集部

P:東條ともてつ

 普段何気なく使ってる鉄道。地域によっては在来線と新幹線が並走する場面も見られますが、同じ鉄道ではありながら、スピードからして大きな差があることは、レイル・ファンでなくても分かるでしょう。ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。代表的なものを挙げ、その差を見ていきましょう。

【写真】新幹線と在来線はこう違う!陸送風景や新在直通車両を写真で見る!

■車体の違い

 新幹線の規格は在来線よりも大きく作られており、在来線の車両限界が最大幅3m、高さ4.1mなのに対し、新幹線では最大幅3.4m、高さ4.5mと一回りほど大きいサイズになっています。在来線特急では最大でも2列+2列の座席配置ですが、新幹線では3列+2列の配置が一般的なことからもその車体幅の広さを感じることができるでしょう。

 そして何より、200km/h以上の高速で走行することから、初代車両である0系より先頭形状は空気抵抗を少なくする流線型になっています。この先頭形状は長年の研究の積み重ねで進化を続けており、空気抵抗を減らしてより高速性能を上げるのみならず、高速で車両がトンネルに進入した際、出口側で大きな空気の破裂音が聞こえる現象であるトンネル微気圧波(『トンネルドン』とも言われる)を少なくするという、騒音低減の観点からも進化を続けています。新幹線特有のあの先頭形状は、こうした苦労の末に生まれた形だったのです。

■電源方式の違い

 JR各社の電化された在来線の電源は、基本的に直流は1500V、交流は20000Vとなっています。では新幹線はというと、全路線が交流電化となっており、25000Vと在来線よりもさらに高圧な電気が流れています。また、日本の交流は東日本は50Hz、西日本は60Hzと分かれており、新潟県の糸魚川から長野県の東側の県境と山梨県の西側の県境を通り、静岡県の富士川あたりまでをこの境界が貫いています。この境界を通る新幹線は東海道新幹線と北陸新幹線の2路線がありますが、東海道新幹線は周波数変換装置を用いて、全線交流25000V60Hz電化されており、北陸新幹線は運行する車両を50Hzと60Hz両方に対応させています。

■その他にも違いが

 車両の大きさ、空力、電源などの違いだけではなく、もちろん車両のパワーにも大きな違いがあります。例えば130km/h運転を行なう「新快速」などで使用される225系の8両+4両の編成出力は6480kW、JR最強と言われた電気機関車であるEF210も定格出力は6000kWですが、N700S 16両の編成出力は17080kWと、まさに桁違い。連続して高速走行するため、やはりパワーは重要となってきます。
 また、日本のほとんどの在来線の線路幅は「狭軌」とも言われる1067mmが一般的ですが、高速域で安定して走行できるように、新幹線ではさらに広い1435mmのいわゆる標準軌を採用しています。

 ぱっと見でそのサイズ感や流線型のスタイルなどから、在来線とは違うことは一目瞭然な新幹線車両でも、よく調べてみると見えないところでも在来線車両とは明確に違う、全く別な車両群であることがわかります。
 そんな中、山形新幹線のE3系やE8系、秋田新幹線のE6系は新幹線区間では高速運転を行ないますが、車体の規格は在来線である山形・秋田新幹線に乗り入れるために小さく作られている上、交流20000Vの在来線区間では130km/hまでしか出せません。これらのいわゆる「ミニ新幹線」用の車両は、一般的な新幹線車両(フル規格新幹線車両)と在来線車両の折衷的な構造を持っており、日本の新幹線車両の奥深さを感じることができます。

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