185系

特集・コラム

色も形もほぼ変わらす私鉄へ渡ったJR車両 ファンから注目されるワケ

2024.03.27

text:鉄道ホビダス編集部

▲京都丹後鉄道で第二の人生を歩み始めたキハ85系改め、KTR8500形。形式こそ違うが、JR東海時代ほぼそのままの姿で運行を開始した。

‘24.3.16 京都丹後鉄道宮津線 京丹後大宮 P:服部ひろみ
(鉄道投稿情報局より)

 引退した車両が各地に転ずるのはよく見るパターンですが、見た目で言えば譲渡先の鉄道会社オリジナルのカラーリングに塗り替えられたり、はたまた大規模な改造によりスタイルを一新したりさまざまです。そんな中でも元々のカラーリングを維持したまま運用される例もあり、懐かしい外観からレイル・ファンから注目を集めることもしばしば。ここではJR各社から私鉄へ渡った車両ながら、ほぼJR時代のままの姿で活躍する車両をご紹介します。

【写真】中にはJR・国鉄時代のカラーに復刻したものも!第二の人生を歩む車両たち

■長野電鉄2100系

 元253系の長野電鉄2100系。この長野電鉄では東急や東京メトロなど、都心で活躍した通勤電車が数多く活躍していますが、そんな中特急型も元小田急ロマンスカー10000形HiSEの1000系「ゆけむり」と、この元成田エクスプレス253系の2100系「スノーモンキー」と、首都圏ではお馴染みの顔ぶれとなっています。
 2100系は3両×2編成が譲渡され、2011年のデビュー当時は2本とも成田エクスプレス時代のカラーリングでしたが、2012年にE2編成が長電オリジナルカラーに。現在ではE1編成1本が成田エクスプレスカラーのまま運行を続けています。

 ちなみに1000系の塗装は小田急時代のワインレッドから、長野電鉄独自のより明るい赤色に変更されていますが、塗り分け線はオリジナルのままです。

■錦川鉄道キハ40系

 山口県岩国市を走る錦川鉄道錦川清流線。元々は国鉄→JR西日本の岩日線でしたが、民営化直後の1987年7月に第三セクターとなる錦川鉄道に転換され、路線名も錦川清流線と改めました。この錦川鉄道にもキハ40系が2017年に導入されましたが、ここを走るのはかつてJR東日本烏山線で活躍していた車両。車内には新たにテーブルを設置し、「清流みはらし号」の愛称も付けられて主にイベント列車で活躍しています。とはいえ、外観についてはJR東日本時代のままを保っており、白地にダイナミックな緑帯が描かれる通称「烏山色」のままな上、エンジンは今や貴重な原型エンジンを搭載、さらにはすでに錦川鉄道のものでありながらJRマークが残るという、見どころ満載の車両です。
 JR西日本では現在でも多数のキハ40系が活躍していますが、いずれも窓サッシの交換など更新工事がされています。そんな中で、そうした車体更新もされていないキハ40系は西日本エリアでは珍しい存在です。

 似たような例として、北条鉄道では五能線色、小湊鉄道では首都圏色と東北地域本社色のキハ40系を見ることができます。

■東武鉄道14系&DE10

 2017年に運行開始された東武鉄道の蒸気機関車牽引の列車「SL大樹」ですが、牽引機がSLではなくディーゼル機関車(DL)になった「DL大樹」なるものも存在します。これはSLの突発的な不調時や検査時のみならず、運行カレンダーにも載る列車。牽引機はDE10であり、オリジナルとなる国鉄色の1099号機だけではなく、かつて北斗星やトワイライトエクスプレス、カシオペアなどを牽引したJR北海道のDD51風の「青に金帯と星マーク」カラーを纏った1109号機が活躍しています。

 牽引される客車である14系座席車も、一部は旧客をイメージしたようなぶどう色2号に塗り替えられた車両もいますが、懐かしい青と白帯の国鉄色の車両も運行されています。今や貴重になった客車列車の旅を今も味わえるということで、SLだけではなくDLにも熱い視線が注がれています。

■京都丹後鉄道KTR8500形

 昨年JR東海から完全引退したキハ85系。特急「ひだ」・「南紀」で活躍した同車ですが、引退後京都丹後鉄道に譲渡されました。譲渡直後はどのような改造がされるのか、塗装はどうなるのかといった話題がSNSを中心に盛り上がりました。ですが実際にはJR東海時代の外装のまま、さらに方向幕のデザインや書体すらオリジナルのものとほぼ同一のものを使用し、車内チャイムも長年人気を博した通称「ワイドビューチャイム」と呼ばれるものがそのまま流れたり、ほとんどオリジナルを維持した状態でのデビューとなりました。引退時の多くのレイル・ファンに見送られたキハ85系だけに、こうして親しまれた姿のまま今も活躍を続けているのは、キハ85系が好きな方にとってはたまらないものでしょう。

 キハ85系の「85」という数字を残した形式や、必要最低限の改造のみでオリジナルを徹底的に維持している姿に、この車両に対するリスペクトを感じられます。今後もこの姿のまま、さらなる活躍に期待したいところですね。

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