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【25歳】豪華寝台列車「カシオペア」に乗る!今も色褪せないE26系の魅力

2024.03.06

text:鉄道ホビダス編集部

▲登場から25年が経過したが、現在も団体列車やツアー列車などを中心に活躍する「カシオペア」。

‘19.5.26 青い森鉄道 剣吉〜苫米地 P:大久保雅史
(今日の一枚より)

 1999年、上野から札幌までを結ぶ新たな寝台特急として登場した「カシオペア」と、これに使用されるE26系客車。当時すでに新幹線網が発達しつつあり、寝台列車も縮小傾向にあった中でのデビューでしたが、今までにないコンセプトを持った客車列車ということで注目を集めました。現在では北海道へ直通することはなくなりましたが、その人気は衰えることを知りません。

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■乗るとわかる全車個室寝台独特の雰囲気

 国鉄時代のブルートレインは、基本的にカーテンで仕切られたベッドが並ぶ「開放式寝台」が主流でした。全国的に活躍したことから、こうした寝台列車を懐かしいと思う方も多いかと思います。しかし時代の変化により、寝台ごとに個室で区切られた「個室式寝台」がJR化と前後して徐々に台頭してきました。

 そうした時代の流れの中で登場した「カシオペア」はなんと全車個室寝台である上に、そのすべてがA寝台という、前代未聞の編成で登場。さらに先に登場していた「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」では国鉄時代からの24系を改造して登場しましたが、このE26系は完全新造な上に、非常に珍しいステンレス製客車としてデビューを飾ります。

 そんな日本の客車史に残る車両で運転される「カシオペア」。実際に乗車してみるとカシオペア以前の寝台車とは似て非なる、独特の雰囲気があります。全車個室・A寝台という特異なスタイルにとどまらず、客室内の構造、食堂車である「ダイニングカー」の存在、曲面ガラスを多用した大きい窓など、他のどんな列車とも違う、特別さを感じられます。

■エンジン音を楽しめる「カハフ」のラウンジ

 E26系の電源車であるカハフE26形は、ハイデッカー構造を持つラウンジとして利用できます。このラウンジは大きな曲面ガラスが連続し、車端部では展望も楽しめる車両ですが、何より特筆すべきは動力集中式の客車において、その電源車部分に乗客が乗れるということ。つまり、エンジンサウンド直接聞くことができます。
 通常運行時はラウンジスペースには音楽が流れていますが、それでも床下から響くエンジンの高鳴りを感じられるのは、レイル・ファンにとっては至高の瞬間でしょう。このサウンドとともに、流れ行く景色を見ているだけで「カシオペア」に乗車する価値は存分にあると言えます。

■色褪せない魅力をいつまでも

 1編成しか存在せず、毎日同時に上り・下り列車をそれぞれ発車させることができないため、かつては臨時列車扱いで上野〜札幌間を半定期的に運行していた「カシオペア」ですが、2016年3月の北海道新幹線の開業直前に廃止されます。とはいえ、単なる「移動」ではなく、列車旅そのものを楽しむという需要は絶えず存在していた上、E26系自体も2016年の列車廃止時まだ車齢は17年ほどと、他の国鉄型客車と比べて経年が浅いこともあり、その後も「カシオペアクルーズ」や「カシオペア紀行」といった団体列車でE26系の活躍は続くことになりました。
 さらに近年では、回送列車に乗車する形で短い区間を乗車体験できるプランがJR東日本のECサイトである「JRE MALL」で発売していたりと、その楽しみ方の幅はある種以前より増えているとも取れます。

 とはいえ、こうした団体列車としての活用が始まってすでに10年以上が経過しており、列車廃止当時はまだ車齢20年にも満たなかったE26系も、すでにデビューから25年が経過し、車体にはわずかながらくたびれている箇所も見受けられるようになってきました。

 四半世紀を駆け抜けたE26系「カシオペア」。臨時列車としての運行終了からもすでに8年が経過し、JR東日本所属となる電気機関車の存廃問題もある中で、今後のこの車両と列車の行方はどうなっていくのかが注目されます。

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