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【色だけじゃない】青い常磐線と緑の常磐線 一体どう違うのか

2024.02.23

text:鉄道ホビダス編集部

 上野から千葉県、茨城県、福島県を経由し、仙台駅までを結ぶ常磐線。「本線」ではないながらも、その総延長は非常に長く、地域によって走る車両も様々です。その中でも品川・上野〜取手間をゆく常磐快速線では、緑帯の電車と青帯の電車の2種類が運行されております。いずれも同じ常磐線の車両であることに変わりはないのですが、どういう違いがあるのでしょうか。

【写真】常磐快速線の電車たち!近年では気になるラッピングも?

■「快速電車」と「中距離電車」

 この2種類の色の電車は明確に分けられており、緑帯の電車が「快速電車」、青帯の電車が「中距離電車(通称:中電・中距離列車とも呼ばれる)」とされています。まずこれらは車両タイプが異なっており、緑帯の快速電車はロングシートの通勤タイプE231系0番代、青帯の中距離電車はロングシートのほか、セミクロスシートやトイレといった設備に加え、グリーン車も連結する近郊タイプE531系が使用されています。このように、それぞれ近距離と中距離の輸送に最適化された車両が使われています。

 また、現在の常磐快速線では「快速」や「特別快速」と種別の案内がなされていますが、「快速」の中には緑帯の快速電車のほか、青帯の中距離電車も含まれています。このうち、緑帯の「快速」で使用されるE231系は取手駅までしか行きませんが、青帯の中距離電車E531系による「快速」は取手以北に直通します。
 この中距離電車を使用する「快速」は、厳密には「普通」という種別になり、JR東日本公式サイトの時刻表でもそのように表記されています。ですが、綾瀬〜取手間では常磐線各駅停車が並行しているため、「各駅停車」より速い「普通」が発生すると非常にややこしいことになります。そこで緑帯の快速も青帯の普通も停車駅も揃え、駅案内も「快速」で統一し、極力シンプルにしています。なお、「特別快速」は中距離電車のみでの運行になります。

 ちなみに、オールロングシートでトイレ・グリーン車の設備のない通勤タイプ(E231系)の車両による15両運転というのは、他では見られない常磐線ならではの光景と言えます。通勤型による15両運転は民営化直後から行なわれており、当時から常磐線の混雑がいかに凄まじかったかをものがたっています。

■快速電車は取手より先に行けないの?

 さて、緑帯の快速電車(E231系)は取手より北へは入線しませんが、これはE231系が取手以北の電化方式に対応していないためでもあります。
 常磐線の取手〜藤代間には、直流と交流の境目である「デッドセクション」が設けられており、ここを境に上野方が直流1500V、土浦・仙台方が交流20000V・50Hzの電化方式になります。これは茨城県石岡市にある気象庁施設の観測を妨げないようにするためのものであり、そう簡単に直流化はできません。こうした事情から、E231系等の直流専用車両は取手より北へ入線することはできないのです。

 とはいえ、そもそもトイレのない車両を中距離運用するのはさすがに無理があるというもの。かつて交流・直流対応とした通勤型電車として、E501系という車両を導入し、上野〜土浦間で運行されたことがありました。ですが通勤型であったためトイレがないなど、中・長距離運用には向かない点が多く、登場から十数年でローカル運用に転じることになった過去があります。その後中距離電車は3ドアの国鉄型から、4ドアのE531系に置き換えられたことで、輸送力・効率も向上しました。

 帯色だけではなく走行区間や車両タイプ、さらには電化方式も異なる車両が同じ線路を走る常磐快速線。その背景には常磐線ならではの独特な事情がありました。

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