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【持ってた?】小ぶりなのが可愛い!プラレールの「かもつしゃりょう」とは

2024.02.16

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は数あるプラレール車両の中でも「貨車」にクローズアップします。実車同様に多様な種類があるプラレールの貨車ですが、その車両を見てみると小ぶりな車体とカラーバリエーションで、見た目が非常に可愛らしいのが魅力の一つです。(編集部)


 プラレールの車種は、機関車・電車・気動車・客車・貨車・新幹線など、実際の鉄道をモチーフにしているだけあって多種多様に展開しています。中でも、黎明期からラインナップにある「貨車」は日本全国で多くの車両が活躍していた事もあり、1959年のプラレール誕生以降、現在に至るまで多くの種類が発売されています。今回はその貨車の中から、近年まで生産され続けていた有蓋車・木材車(無蓋車)・タンク車・車掌車を見ていきます。

【写真】さまざまなバリエーションがある可愛らしい貨車たちを見る!

▲「かもつしゃりょう」として1973年4月に発売された4両。

 最初のプラレールである「プラスチック汽車」は蒸気機関車・有蓋車・無蓋車・木材車・タンク車で構成された5両編成の手転がしの列車として登場しました。色合いもカラフルで、黒い車体を採用した有蓋車を除き、グレー成型の台車に青い車体というおもちゃらしいカラーリングでした。
 1970年に発売された「D51きしゃ」「でんききかんしゃ」ではホイールベースが長めの共通シャーシを使った無蓋車・カーキャリア・コンテナ車・タンク車が登場し、このうちのコンテナ車とタンク車は2000年代に至るまで生産されるロングセラーに発展しています。
 無蓋車は黒い車体、コンテナ車は国鉄コンテナを模して緑色、タンク車は銀色となりましたが、共通シャーシは全て赤色、あるいは黄色で、本物に寄りつつもまだおもちゃらしいカラーリングのままでした。

 1973年になり、更に貨車のラインナップが拡充。この時に発売されたのが冒頭で挙げた4両がまとめられた貨車だけのセット「かもつしゃりょう」です。この4両はホイールベースが短い共通シャーシを持ち、前述の貨車がボギー車とすると、これらは2軸貨車をモデルとしているように思えます。「かもつしゃりょう」としての単品発売のほか、同時に発売された車両単品「DD51ディーゼルきかんしゃ」とセット品「D-51だいてっきょうセット」にも機関車が牽引する車両として採用されています。個別のモデルは定かではありませんが、有蓋車がワム80000形、木材車がトム級、タンク車がタム級、車掌車がヨ5000形を模しているものと思われます。

▲時代によりバリエーションも多く、リアルな色からカラフルなものまで様々

 当初は4両のセットとして発売されていましたが、雑多な貨車が繋がっているのはもちろん、同じ貨車が連なっている光景も見たくなるものです。1976~78年までは1両単品で発売され、以後はたまにセット品に含まれていました。
 単品発売後は長い方の「無蓋車」が絶版となった事に伴い、「木材車」から木材を下ろした積荷のない状態でセット品に含まれるようになり「無蓋車」の名を踏襲しました。実際の鉄道においては1980年代以降コンテナ輸送が主流となった事もあり、メインの貨車の一部という立ち位置からは退き、「脇役」になっていきました。
 1990年代以降はトーマスシリーズの貨車に流用されたり、セット品や非売品でカラーバリエーションが登場したりと、小ぶりかつ扱いやすい車両として脇役ながらもプラレールのラインナップに載り続けました。

 そんな貨車たちも実際の貨車の運用の変化や、トーマスシリーズのものは専用の貨車の開発が進んだ事などにより、2000年代後半以降は出番が減っていきます。実車をほとんど見る事がなくなった有蓋車・車掌車は姿を消し、タンク車も2軸の実車が無くなった事により、いずれも姿を消す事となりました。

 しかしプラレール40周年頃の旧製品の再登板や、リアル化志向の恩恵も少なからず受けており、有蓋車では「青」(2001年)「黒」(2002年)といった実在のカラーや、車掌車には「コンテナ特急たから号」専用色として有名な「ウグイス色」(2000年)も登場しています。2003年から2005年にかけて、既存のカートレイン(ワキ10000形タイプ)を茶色に塗り替えた「ワム80000形」、タンク車を塗り替えた「タキ5450形」、のせかえ遊び貨車セットの無蓋車を黒く成型した「トキ15000」が発売され、今までの小さな貨車の立ち位置を継承する流れも見られました。しかし、これらの貨車単品も10年以上前に絶版となり、雑多な貨車もプラレールの世界から姿を消しています。

 実際の鉄道の動きとリンクした展開を行なっているプラレール。昔ながらの貨車も、今や文字通り過去のものとなってしまいました。2017年の非売品を最後に、「かもつしゃりょう」出身の小さな貨車は作られていません。

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