text:鉄道ホビダス編集部
▲浅草橋駅に使われる古レールの骨組み。懐かしい国鉄色ともマッチしている。
’14.07.05 総武本線 浅草橋 P:山本伸介
(今日の一枚Memoriesより)
鉄道にはまず欠かすことのできない「レール」。そんなレールも実は消耗品の一つで、定期的に交換作業が行なわれています。そんな使い古されたレールの一部には、第二の人生が待っていることもあるのです。
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■駅の柱をよく見ると…?
古レールの使い道として定番とも言えるのが駅ホームの柱への転用でしょう。近年完成した駅ではあまり見られませんが、古くからある駅舎やホームでは、意外にも健在だったりします。さらに、都市部の駅でも意外と残っているところもある上、刻印をよく見ると鉄道黎明期のものが使われていたりすることも多く、まさにこれらは鉄道史の生き証人とも言えるでしょう。
洗練されたイメージのある東京23区内の駅ホームですが、そこそこ残っている場合が多く、例としては日暮里駅や有楽町駅、水道橋駅や浅草橋駅などでその姿を見ることができます。
■意外と使われている「柵」
駅の柱以外にも、柵として活用されるレールもしばしば見かけます。柵とひとことで言えども、その使い道は様々で、線路と道路を区切る柵だったり、秘境駅のホームに取り付けられた柵であったりと様々です。
ただ駅の柱にしろ柵にしろ、一見すると普通の柱に見えるというのがポイント。ほとんどの場合は上から塗装が施されており、遠目で見ると通常のH鋼の柱とあまり変わりはありません。ですがふとしたところで見える断面や、近寄るとわかる刻印などでそれがかつて「レールだった」ことがわかると、普段使っている駅の風景にも歴史を感じることができるのではないでしょうか。
■レールはレールでも「ラックレール」の使い道
レールといえばレールの仲間になりますが、一般的なレールより特殊な「ラックレール」というものも、意外に再利用されています。このラックレールというのは、急勾配を登る際に、車両側に付けられた歯車を噛み合わせるために敷かれるレール。現在日本では大井川鐵道井川線のアプト式が有名でしょう。これら使用済みのラックレールを、排水溝の蓋(グレーチング)として活用されているのを、一部の地域で見ることができます。
かつて信越本線 横川〜軽井沢間の碓氷峠区間でこのアプト式が採用されていましたが、特にこの信越本線の周りではこのラックレールを活用したグレーチングをよく見かけます。現在はアプト式はおろか、碓氷峠区間自体廃止されて25年以上が経過しましたが、蓋としてのラックレールはいまだに健在で、今もその勇姿を見ることができます。
これらのレールの活用はいわば「リユース」の一つでもあり、それが昨日今日行なわれたものではなく、昔から見られたものというのが驚きです。いちレイル・ファンとしては、こうして鉄道部材が姿をそのままに、身近なところで使われるということには感慨深く思います。彼らにはこれからも変わりゆく鉄道を、末長く沿線で見届けて欲しいものです。