text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は現在最新型の小田急ロマンスカーとして君臨する70000形GSEのプラレールにクローズアップ。VSEなき後、唯一の展望席付きのロマンスカーであるGSEですが、実はプラレール製品では2種類存在するのをご存知でしょうか?今回はその2種類のGSEの違いに迫ります。(編集部)
2018年3月17日にデビューした小田急70000形GSE。2018年に7000形LSEを置き換え、50000形VSEが完全に2023年に引退してからはGSEが小田急で唯一の展望車となりました。プラレールではデビューから約7ヶ月後の10月20日に小田急電鉄の限定品として発売され、デビューから約1年後の2019年3月14日には全国流通品としても発売されています。
1年足らずに限定品と通常品が揃ったGSE。両者で差異はあるか、また造型がどこまで拘ってあるのか、詳しく見てみましょう。
【写真】どこが違う?プラレールGSE 通常品&限定品を見比べる!
▲上が小田急「TRAINS」限定品、下が全国流通品。
展望席窓と運転台窓をクリアパーツで表現、側面窓は開口型という往年のプラレールで見られる設計で作られており、かなりハイグレードに仕上がっているのがGSEのプラレールの特徴です。床下機器カバーの造型や、車体色のオレンジや屋根上のメタリックレッドの塗装も完璧に再現されています。
発売時期も販売場所も異なりますが、型は同じです。つまり、正直に言うとあまり違うところはありません。限定品ではプラキッズが3体、全国流通品では1体が付属します。前者ではアテンダントと乗務員、後者では乗客となっています。小田急ロマンスカーの特徴であった乗務員のベージュの制服は2023年をもって廃止されてしまいましたが、小田急限定品のプラレールGSEでは往時のロマンスカーの様子を楽しむことができます。そんな見た目ではほとんど変わりがない両車ですが、はっきりと異なっている点が存在します。それが「中間車の向き」です。
▲パンタグラフが進行方向を向いているのが小田急限定品。連結器の切り欠きがフック型とリング型の双方に対応している事に注目!
限定品と通常品で中間車の向きを変えるという展開はVSEでも行われており、新型の展望車でもそれを引き継いだ形となります。VSEと同様、両先頭車が同じ形の車両で構成されているGSEだからこそできる芸当です。
この仕様により、上下線でのすれ違いをそのままの姿で再現できるのが嬉しいです。ちなみにこの仕様のためなのか、限定品・通常品共に乗降扉横にある号車番号は省略されています。
プラキッズを搭載できる後尾車にも差異があります。小田急限定品では先頭車と共通でブランドロゴと「ROMANCECAR-GSE」のロゴが印刷されていますが、通常品では省略されています。事業者限定品と通常品で一部の装飾を省略する例は一部の製品にも見られるため、これもその流れに乗ったものだと考えられますね。
▲編成写真。こちらは通常品
GSEのデビューとプラレールの発売から早5年以上、すっかりロマンスカーのイメージリーダーとして定着した印象があります。月日の流れにより、前述のようにデビュー当時は共に活躍していたVSEの引退による展望車の減少や、ロマンスカーのベージュ制服の廃止など、5年前とロマンスカーを取り巻く状況も大きく変わりました。
とはいえ、ロマンスカーと言えばやはり展望車というイメージがありますが、2024年現在ではGSEの2編成しか存在しません。次期ロマンスカーは新たな展望車を期待したいところです。
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本書は、レイル・マガジンで折に触れて大型記事を組んで紹介してきた歴代の小田急ロマンスカー、特にVSEをフィーチャーし、今だから送り出せる「総集編」としてお届けします。
◎主な新規記事
・読者傑作選グラフ…約500点におよぶ応募のあった読者作品から厳選。
・スペシャルギャラリー・WのV~VSEが並ぶ瞬間を追い求めて
・VSE活躍の18年間、小田急ロマンスカーに何が起こったか
・ロマンスカーミュージアムを訪ねて
◎主な再録記事
・車両解説(VSE、GSE、MSE、EXEα)
・小田急電鉄ロマンスカー・LSE(7000形)を訪ねて
・惜別! 371系〈あさぎり〉に乗る
・変わり行く「御殿場線直通列車」
ほか
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