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「ドクターイエロー」の祖先!?国鉄型線路のお医者さんは今どこに?

2024.01.28

text:鉄道ホビダス編集部
photo:寺尾武士・松沼 猛・Studio EVO

マヤ34形最後の1両「マヤ34 2009」。国鉄時代は向町運転所に配置されていたが、現在はJR九州が承継している。

 その特徴的な黄色い車体から「見ると幸せになれる」とも言われるドクターイエロー。その見た目から、レイル・ファンや子どもたちのみならず、一般旅客からも注目を浴びます。ドクターイエローのように、走りながら検測を行なえる車両というのは今や当たり前ですが、こうした検測車は国鉄時代から存在しています。

【写真】マヤ34とその後継車両たちの写真はこちら!

■走りながら検測ができる「マヤ34」

 当然ながら、昔はレールの歪みを治すのは人の仕事であり、今と比べて労力も作業スピードも比べものにならないほどでした。そんな中、走りながらレールの歪みをチェックできる「軌道検測車」として開発・製造されたのがこの「マヤ34」という客車になります。この車両は、1959年の登場以降、1981年まで断続的に増備が続けられ、最終的に10両が製造されました。

■初代ドクターイエローにも活かされた技術

 マヤ34では、走行しながらレールの状態を確認するため、装備された3つの台車の動きを記録し、わずかなレールの歪みも見逃さないという仕組み。また、初代ドクターイエローの軌道検測車も、マヤ34の技術が活かされていました。
 なお、現在のドクターイエローである923形ではレーザーによる軌道検測を行なうことで、通常の2台車による測定を可能にしました。検測車両の技術も日進月歩なのです。

■古き良き検測車 引退へ

 製造された10両のうちトップナンバーを除いた9両がJR各社に承継され、各地で活躍しましたが、車体構造自体は製造当時に現役だった10系客車をベースとしている点から老朽化が目立ち始めました。JR東日本に所属したマヤ34 2002は大規模な更新工事が行なわれるなどしましたが、九州を除く旅客5社では2024年現在すべて引退・廃車に。現役を貫くのはJR九州のマヤ34 2009のみとなりました。

 そんなJR九州でも、2023年にキハ200系を改造した多機能検測車である、BE220形「BIG EYE」が登場。プレスリリースでもはっきりと「マヤ車(マヤ34の通称)に代わる」ことが明記されており、正真正銘、全車引退の日が近づいてきました。

 ◆各地で登場した新型検測車

 ●JR東海 キヤ95系「ドクター東海」 

 1998年に登場。気動車の総合検測車で、中間に挟まるキサヤ94形がマヤ34と同じ3台車方式を採用する軌道検測車になっています。JR東海管内だけではなく、東海エリアの第三セクターの検測も担当しています。

 ●JR東日本 E491系「East i-E」/キヤE193系「East i-D」

 いずれも2002年に登場した総合検測車で、E491系「East i-E」が電車タイプ、キヤE193系「East i-D」が気動車タイプとなります。「East i-E」はクヤE490形が、「East i-D」ではキクヤE193形が2台車方式の軌道検測車です。こちらもJR線内のみならず、第三セクターのほか「East i-D」は北海道や臨海鉄道なども検測します。

 ●JR西日本 キヤ141系「ドクターWEST」

 気動車タイプの総合検測車で2006年に登場。キクヤ141形が2台車方式の軌道検測車になっています。担当するのはJR西日本のほか、JR四国・JR九州、そして西日本・四国・九州エリアの第三セクターも担当します。

 ●JR北海道 マヤ35形

 2017年に登場した2台車方式の軌道検測車。この車両が導入されるまで、JR九州と共にマヤ34 2008が長らく活躍していましたが、現在では廃車となっています。マヤ35形自体に動力はないため、前後にキハ40形などの気動車を連結して検測しています。こちらもJR北海道のほか、第三セクターも検測を担当しています。

 日本各地の線路を長年見守り続けたマヤ34。最後の日まで、無事に仕事を全うしてほしいものです。

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