非常時用や、併結時の通路を確保するなどの目的で、一部の車両の前面に設置される貫通扉。車両デザインにも大きく影響を与えますが、一部には貫通扉のあるようなデザインで、実は非貫通という車両が存在します。
【写真】ホントに!?扉風のデザインはあるけど非貫通な車両たち
■これでいて非貫通なE131系1000番代
先日公開された鶴見線用E131系1000番代ですが、他番代と同様の貫通型デザインを持っていながら、内部を見ると実は非貫通構造なことで話題になりました。運転台廻りを見ると確かに扉部分まで運転台コンソールが伸びていることがわかります。実際、鶴見線には分割・併合運用はありませんし、非常用貫通扉が必須となる地下鉄との乗り入れもありません。こうした「貫通扉風のデザインながら非貫通」という車両は他にもいくつかあります。
■E217系
E217系は前面に非常用貫通扉を設けており、外観デザイン上でも非常に目立ちます。ですが7次車以降の車両は、デザインはそのままに非貫通構造に変更されています。元々この貫通扉は、錦糸町〜東京〜品川間の地下トンネル区間を通過する際の安全対策で設けられていたもので、非常時のみ使うことのできる扉でした。その後増備途中に法令の緩和に伴いこの地下区間での貫通扉は不要となり、E217系も非貫通構造に改められましたが、見た目は変わらずダミーの貫通扉風のデザインが施されています。
■E353系
E353系は、中央本線系統の特急として、E351・E257系に代わるために登場した車両で、基本となる9両編成と、増結となる3両編成がそれぞれ存在します。貫通扉が設けられており、自動幌装置も搭載していることで、併結時には基本・増結編成間を行き来することができます。ですが、これらの併結に関係ない基本編成の松本・長野方のクハE352形と、新宿方のクモハE353形はデザインに変わりはありませんが、貫通構造ではありません。
似たような構造を持つ車両として、 JR西日本にも683系4000番代のクロ683形や、287系のクモロハ286形なども貫通型の先頭車と同じ形ながら、扉部分はダミーの準備工事としています。
■名鉄2200系
こちらもまた扉が開きそうなデザインをしていますが、正真正銘の非貫通車です。外観は名鉄の空港連絡特急「ミュースカイ」用の2000系に似たものとなっており、貫通扉風のデザインも入りますが、2000系とは違いこちらは非貫通構造となっています。また、登場時は貫通扉中央にマジックミラーが設けられており、外からだと中は見えませんが、車内からだと外の景色が見えるようになっていました。ですがこれも後年通常の窓ガラスに交換されています。
■貫通扉「みたいな枠」 新京成800形・元東急8500系改造車
新京成の800形は、製造当時は貫通扉があった車両でしたが、後年非貫通化改造がなされました。その後ヘッド・テールライトと方向幕の移設工事がなされ、その際非貫通ながら貫通扉を思わせる銀色の枠の飾りが入れられました。一瞬扉のように見えますが、近くで見ると取っ手や扉の段差がないことから、非貫通構造であることがわかりました。
また、元東急8500系である秩父鉄道の7000系や長野電鉄の8500系には、先頭車化改造がされた元中間車については、8500系に似た顔のデザインながら貫通扉風の枠が付くだけの非貫通構造となりました。
探してみるといろいろある貫通してそうで貫通していない車両たち。その理由は車両によって様々あるのです。