▲横浜市営地下鉄ブルーライン4000形の甲種輸送を担当したEF65 2063号機。最後まで残った更新色のひとつだ。
‘23.1.21 東海道本線 蒲原~新蒲原 P:中井琢也
(鉄道投稿情報局より)
【写真】同じようで違う!往年のEF65貨物更新色たちを写真で見る!
1965年に登場し、以降改良を加えながら製造が続けられ今も一部車両が現役なEF65形電気機関車。客車列車の減少・廃止に伴い旅客車牽引の第一線からは退きましたが、貨物列車牽引では今も活躍が続きます。そんな中先日、いわゆる「貨物更新色」で残った最後のEF65が廃車回送されたということで、SNSを中心に話題となりました。
■30年以上親しまれた貨物更新色
この貨物更新色は1989年に登場した塗装で、その名の通りJR貨物所属機のうち、更新工事を施工した車両に施されたものです。この工事は当初、大宮・広島車両所のほか、JR西日本の鷹取工場にて施工されました。内容としては走行機器類における消耗品の交換や改良、補修など徹底した更新工事がなされ、塗装も1989年にEF65 21号機に対して行なわれた試験塗装をベースに、ライトパープルを基本としディープブルーとスカイブルーの3色塗りとされた上に、乗務員扉はカラシ色に塗られ、全体におけるアクセントにもなっていました。このように機器類から見た目に至るまで、国鉄時代とはイメージを一新し、更新色のEF65たちはこのあと続々と登場することになります。
■細かい形態差に注目が集まる
そんな更新色でしたが、時代が進むとライトパープル・ディープブルー・スカイブルーの3色から、車体上半分のスカイブルーの塗り分けを廃し、ライトパープルとディープブルーの2色に塗装が簡略化された通称「2色更新」が登場します。また、広島車両所で更新工事を受けた機関車については貫通扉もカラシ色に塗られたほか、青の色味も若干明るいものになっていたりと他の機関車との差異がありました。これは「広島更新色」や、貫通扉の色から「カラシ」とも呼ばれ、最後までこの塗装を維持していた2127号機は常に注目の的でもありました。
その他にも1000番代(PF型)においてはプレートの色、0・500番代では前面窓廻りの黒色の塗り分けの有無など、貨物更新色は多様なバリエーションを産んでいきました。
■国鉄色の復帰が始まり数を減らすことに
当初、更新工事済みの車両に施されたこの塗装でしたが、2016年頃よりJR貨物のEF65 2000番代(元1000番代)は国鉄色に順次戻されていくことになりました。これは、当時すでに更新工事を受けた車両のみが残っている状態で、未更新の車両はいなくなっていたことや、塗装工程の簡略化などを目的にしたものでした。そうした流れのほか、後継車となるEF210の追加増備に伴い廃車も同時に進行。日常的に見られた貨物更新色は急速に数を減らしていくこととなりました。
そして先日、 EF65 2066牽引で、EF65 2065(国鉄色)・EF65 2063(更新色)・EF65 2060(更新色)の3両が一気に大宮へと回送されました。これらは廃車となるものと思われ、34年近く活躍した貨物更新色のEF65は終焉を迎えることになりそうです。
一時は大多数のEF65がこのカラーリングだったものが、いつの間にか国鉄色と立場が逆転し、遂には消滅したこの貨物更新色。改めて振り返るとそのカラーバリエーションや形態差が面白いものだったように思えます。
更新色が去った今、改めて近い将来訪れるであろう、EF65自体の完全引退というのも見えたきたように思えます。