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「どっちだっけ?」大手私鉄「系」か?「形」か?会社で違う車両の呼び方

2023.12.02

▲左は阪急8000系、右は小田急8000形。数字は同じ「8000」ながら、会社によって呼び方が分かれる。

P:鉄道ホビダス編集部

 それぞれの車両に与えられる固有の呼び名。愛称などもありますが、どの車両も基本的に英数字で表される「形式」という記号が与えられ、車両を区別しています。ですがその呼び方は「系」である会社だったり、「形」である会社だったりと、違いがあります。

【写真】形だっけ?系だっけ?各社の車両の呼び方を写真でおさらい!

■最初はみんな「形」だった

 調べてみると、各社とも昔の車両は「形」で呼ばれていることが大半です。これは昔の車両は1両単位で稼働することが多く、現在のような複数の両数が繋がった固定編成ではありませんでした。すなわち車両単体では「形」と呼ばれていたのです。
 その後、従来のように1両単位で運用することを想定せず、複数の車両が繋がったまま運用される「固定編成」という方式が普及した際、編成中の1両単位の呼び名は「形」ですが、それらは単行で動くことはなく編成で動くため、総称として「系」と呼ぶ会社が増えてきました。

 これは国鉄、現在のJRでも主流の考え方で、1両単位では「形」と呼びますが、それらをまとめて「系」と呼ばれます。例えば、東急2020系は渋谷方先頭車は「クハ2120形」、3号車のパンタ付き中間動力車は「デハ2320形」、4号車の中間付随車は「サハ2420形」となりますが、これらをまとめて2020系と呼ばれます。

 ですが、大手私鉄内でも「系」を使わず「形」のままの会社もいくつかあります。法令で「固定編成は系と呼びなさい」と決められているわけではないので、この辺りは会社の考え方に左右されます。また、路面電車(軌道線用車両)や貨車、機関車のように今も1両単位での運行が基本な車両や、試験車や事業用車では「形」が用いられる場合が圧倒的に多いです。

■大手私鉄16社 各社の呼び方

 それでは大手私鉄各社現有の固定編成における車両形式の呼び方をおさらいしてみましょう。なお鉄道線用の営業車両のみで、軌道線用車両や試験車・事業用車は含まないものとします。

  • 東武鉄道:系(型)
  • 西武鉄道:系
  • 京成電鉄:形
  • 東急電鉄:系
  • 京急:形
  • 東京メトロ:系
  • 小田急:形
  • 相鉄:系
  • 名鉄:系
  • 近鉄:系
  • 南海:系
  • 京阪:系
  • 阪神:系・形(5001形のみ)
  • 阪急:系
  • 西鉄:形

■特殊な東武鉄道の「型」その意味は?

 東武鉄道では基本的に車両は「系」と呼ばれますが、東武鉄道のWebサイト内にある車両紹介ページを見てみると、「系」と「型」が混在しているのがわかります。「形」でもないこの東武特有の「型」の概念はどういうものなのでしょうか。
 これはいわば「派生」の意味があり、総称としての「系」の概念と、その派生車両に与えられる「型」の概念という分け方をしています。例えば50000系であれば、基本となる東上線用の50000型、スカイツリーラインや地下鉄半蔵門・東急田園都市線直通用の50050型、東上線と地下鉄有楽町・副都心・東急東横線などへの直通用となる50070型、東上線座席指定車「TJライナー」用の50090型と、それぞれの派生車がいる車両は「型」で区別します。その反面、現状派生車がいない車両であるN100系や100系、500系、30000系や60000系などは総称である「系」のまま呼ばれています。JRなどでいうところの「番代」の概念にも近いと言えるでしょう。

 こうした車両の呼び方は、各社の考え方の違いが比較的出やすいところでもあるのです。

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