▲「黒部のトロッコ電車」として有名な黒部峡谷鉄道は、実は私鉄電気機関車の宝庫。VVVFインバータ制御のEDV形はオレンジの車体に映えるV字の白帯が特徴。
2022.11.4 柳橋−宇奈月 P:寺田裕一
text:RMライブラリー編集部
富山県の立山連峰の麓に、「トロッコ電車」の名で親しまれている鉄道があります。宇奈月から欅平までの20.1kmを、41ヶ所のトンネルと21ヶ所の橋梁を使って結ぶ黒部峡谷鉄道です。通常は4月下旬から11月までの運行のため、紅葉シーズンが終わると一部の線路と鉄橋をトンネルに格納し、冬季の間運休するほどの厳しい環境に置かれた鉄道です。
ここは軌間が通常より狭い762mmの「ナローゲージ」と呼ばれる鉄道で、機関車が客車や貨車を牽引する形態を取っているため、今や全国の私鉄の中でも希少価値となってしまった電気機関車が20両以上も活躍しています。特に観光客が集中するシーズンは、機関車も重連で13両編成もの客車を牽引します。
そのため私鉄では減少の一途を辿る電気機関車も、ここでは絶えず新陳代謝が続けられています。既存車両の改良のほか、私鉄電気機関車では最初となるインバータ制御を採用したEDV形も4両登場しました。最初の2両(EDV34・35)は2011(平成23)年の製造(営業開始は翌年)ですが、増備車のEDV36・37はなんと2019(令和元)年の製造。令和の時代になっても私鉄電気機関車が製造されていることには、頼もしさが感じされます。