185系

特集・コラム

【お客さまは乗れません】お仕事のためだけに走る鉄道車両「事業用車」

2023.11.22

▲トラックのような形状がユーモラスなクモル145形・クル144形。JR西日本が最後まで運行していたが、2021年に廃車となった。

‘18.3.23 東海道本線 岸辺 P:池田智哉
(鉄道投稿情報局より)

 鉄道車両の大半は、貨物列車などを除いて基本的に旅客の輸送を目的としていることが多いです。そんな中で、貨物車でも営業車でもない、事業用車という、少し特殊な車両区分が存在します。

【写真】検測車から試験車まで!多種多様な事業用車!

■いろいろある事業用車

 一口に「事業用」とは言いますが、これらは営業運転には供することを基本的に前提としてない、事業目的で使われることに特化した車両たちのことで、その種類は様々です。その役割の内訳は電車の牽引を主な目的とした牽引車、車両への電源供給を行なう電源車、技術の試験、または路線の検測を行なう試験車や検測車などがあります。

 その他にも、車両に何らかのトラブルが発生した際や、事故や災害時の復旧のために出動した「救援車」や、鉄道会社内で使用する部品の輸送を主な目的とした「配給車」などもかつて存在しました。ですが、いずれも現在では活躍する機会が少なくなり、JRからは姿を消しました。

■見れたらラッキー!な事業用車

 このようにいずれの事業用車も用途は特殊であることが多く、そのため製造・改造される車両も少数に留まる傾向にあります。もちろんこれら事業用車が走るダイヤは一般の旅客が乗れないものばかりなので、公の時刻表に載ることはまずありません。本線での運行頻度が少ない車両もあり、どれも見かけたらラッキーであることには間違いないでしょう。

 また、近年では検測車などを中心に固有の愛称を与えられたり、専用塗装が施されることもしばしば。そのため塗装や愛称ロゴ、客扉が無い独特な車体などが非常に目立つ存在でもあり、注目を集めることもあります。

■ドクターイエローも「事業用車」

 数ある新幹線の中で、その黄色い車体と希少性から「見ると幸福になる列車」として一般にもその名が知れた「ドクターイエロー」ですが、この車両もまた事業用車の一つになります。このドクターイエローは正式名称を「新幹線電気軌道総合試験車」といい、その名の通り電気が通る架線、そして列車の足元である軌道の状態を走行しながら検測することができる車両になります。近年では一般向けの乗車体験イベントなども度々開催されていますが、これは特異な例で本来は一般旅客は乗車できない事業用車両です。

 同じような車両に、JR東日本のE926形「East i」などもありますが、こちらも同じように走行しながら検測する車両です。ただし、こちらは2編成体制のドクターイエローとは異なり1編成のみ。さらに、ミニ新幹線規格であるE3系をベースに設計された車両なため、山形・秋田新幹線への検測も可能。また、交流電気は東西で周波数が異なりますが、50Hz(東日本)と60Hz(西日本)の両対応となっており、北陸新幹線も検測可能です。

 普段見ることはあまりできない事業用車。その用途は様々ですが、いずれも日々の鉄道運行に欠かせない存在です。

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