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特集・コラム

古い機関車は「形態差」が面白い!飯田線北部で活躍したED19 鉄道模型の楽しみ方

2023.11.18

text:RMM
photo:羽田 洋

ウエザリング加工:木本晃彦

 日本の電化鉄道黎明期の1925年に欧米から輸入され、東海道本線の東京~国府津間の電化運転のために用意された舶来機関車のうちの一つが、米国ボールドウィン・ウェスティングハウスによるED53でした。ED級とはいえ旅客用としてその任に当たり、他の輸入機よりも安定した性能は評判を呼び、お召機にも指定されたこともありました。EF級の電気機関車の国産化すると、ED級の輸入機はローカル線に転属。このED53は1937年に歯車比率の改造を受け、ED19へと改造され、中央線、上越線、仙山線へと転属しました。更に1943年~1959年の間に飯田線に集結、最終的には伊那松島機関区に所属し、1976年までに在籍しました。

【写真】細かい形態差が楽しい!ED19の模型を見る!

 KATOからは飯田線シリーズの脇を固めるモデルとして2015年にED19 6号機を単品発売、ED19 2号機をセメント列車セットとして発売。つづいて2021年にED19 4号機を発売しています。全体で6両存在したED19は1両1両形態が異なると言って良く、既に3両をリリースしているKATOのモデルをもってしても全ての形は残念ながらカバーできないのです。ではED19にどんなディテールの違いがあるか、ここではモデルからひも解いていきたいと思います。

▲ED19 2号機。

 まずはED19 2号機。前面窓角窓縁あり、リベット留め外板車体、ガイコツ型テールライトケース、パンタグラフはPS14などのディテールを持ちます。特に前面窓の印象もあってか、原形に近いスタイルとも言えるでしょう。前面窓の縁を削れば1号機のようなスタイルに。製品はタキ10600との「セメント列車セット」(14,300円+税)で2015年春に発売となりましたが、現在新品を手に入れるのは難しい状態です。

 ED19 4号機は、前面窓角丸窓縁なし、リベット留め外板車体、円筒型テールライトケース、パンタグラフはPS15などのディテールを持ちます。特にこの4号機と6号機は前面窓の印象から近代的に更新されたかのような印象を受けるナンバーです。製品は単品で(8,250円+税)で2021年春に発売でしたが、こちらも現在市場在庫のみです。
 腕に覚えのあるモデラーならば、車体のリベットの毛釣り落とし、側面ルーバーの縦目にして5号機を作ってみたくもなるところかもしれませんが、4号機では側窓も前面窓同様にフチなし窓になっているので、モデルを改造するには一筋縄では改造できません。

 ED19 6号機。前面窓角丸窓縁なし、リベット留め外板車体、円筒型テールライトケース、パンタグラフはPS15、側面ルーバーの縁無しフィン型などのディテールを持ちます。製品は単品で(7,500円+税)で2015年春に発売されましたが、こちらも現在新品を手に入れるのは難しい状態です。6号機の側面ルーバーは6両中この1両しか存在しないので、他の車番に改造するのも一筋縄ではいきません。

 それではこれらED19の形態差を、下の一覧表に示します。1号機から6号機まで、多彩なバリエーションがあったことが一目でわかるかと思います。


 より詳しいエピソードを聞きたい方は、11月19日(日)開催の、KATO企画担当だった関良太郎氏による「飯田線北部に残った魅力溢れる電機」トークショーもあわせてご期待ください!

 2023年11月19日(日)、「鉄道車輌ディテール・ファイル愛蔵版002 飯田線のED18・ED19」の発売を記念し、ホビーセンターカトー東京店2階にて、鉄道模型メーカーであるKATOの製品企画担当だった関良太郎氏による「飯田線北部に残った魅力溢れる電機」をテーマにしたトークショーが開催されます。

■日時
 2023年11月19日(日)14:00〜

■場所
 〒161-0031 東京都新宿区西落合1-24-10
 ホビーセンターカトー東京店 2階

■入場料
 無料

■主催
 カルチュア・エンタテインメント株式会社 ネコ・パブリッシングカンパニー
 RMモデルズ編集部

■お問い合わせ先
 カルチュア・エンタテインメント株式会社 ネコ・パブリッシングカンパニー 鉄道事業部
 月刊RM MODELS編集部
 〒141-8201 東京都品川区上大崎 3-1-1 目黒セントラルスクエア7階
 TEL. 03-5745-7815(編集部)

 ここでしか聞けない貴重なトークを聞けるチャンス!ぜひこの機会にお越しくださいませ!


■鉄道車輌ディテール・ファイル 愛蔵版002 飯田線のED18・ED19

◆詳しくはこちら

 旧型国電の動く博物館と呼ばれた飯田線では、国電の陰に隠れながらも、もう一つの古豪たちの最後の活躍の場でした。それは貨物列車の輸送を担った電気機関車で、特に天竜峡から辰野までの飯田線北部区間では軸重の重い大型の電気機関車が入線することは長い間できなかったのです。

 本書は『鉄道車輌ディテール・ファイル』の「006 飯田線のED18」(2010年1月発売)と「008 飯田線のED19」(2010年4月発売)を一つの本として、新規カラーページも加え再編集したものです。イギリス製とアメリカ製の2形式全機の在りし日の姿を振り返るとともに、模型化心をくすぐられる2形式の製作向け資料として機能するように編集した内容です。

価格:2,530円(税込)

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