▲しなの鉄道で活躍する湘南色の115系「S3編成」。JRマークのない姿がどこか懐かしい雰囲気だ。
‘23.02.12 しなの鉄道 北しなの線 豊野~牟礼 P:飯塚 洋
(今日の一枚より)
国鉄時代に大量製造され、一時は直流電化区間では必ずと言っていいほどよく見た111・113系と115系。いずれの車両も基本設計は共通しており、形状や性能までもよく似ていますが、よく見ると細かな違いや特性が見えてきます。
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■暖地・平地向けの113系/寒地・勾配向けの115系
3ドアのセミクロスシートという、いわゆる「近郊型」と呼ばれる形態を持った111系は、1962(昭和37)に東海道本線の東京口に投入されました。モーターは101系や151系と同等となる100kWのMT46を採用した電車でした。
1963年には111系をベースに、出力を120kWに向上させたMT54にモーターを変更した上で、勾配線区での運用を考慮し抑速ブレーキを採用し、ボディも耐寒耐雪構造とした115系が登場。そして111系もモーターをMT54に変更した113系に発展的進化をし、全国の直流電化区間で活躍しました。
また、数字的に113系の方が先の登場に思われがちですが、実際は115系が1963年1月の登場、113系が1963年の12月の登場と、順番が前後しています。また、115系は111系をベースにしつつも独立した形式を起こしていますが、113系はモーター車のみ113系の番号とし、モーターなしの車両は111系の続番としています。
■投入線区や車両タイプにも違いが
両車は形状から非常に似ており、シートピッチ拡大や冷房化などの改良も同じようなタイミングで行なわれました。そんな中、やはり115系は勾配の多い線区、113系は比較的平坦な幹線を主に走ることから、考え方の違いももちろんありました。例えば、113系は2M2Tの4両編成が最小単位ですが、新製形式にクモハがある115系の最小編成は3両であったり、115系にはグリーン車が存在していなかったりと、意外にも違いは多いです。
■塗り分けで区別がついた湘南・スカ色
▲房総地区の113系の晩年、往年の湘南色が復活。上の湘南色115系と比べると、前面塗り分けが異なることがわかる。
‘11.4.29 外房線 大網 P:萩原 涼
(鉄道投稿情報局より)
111・113系と115系では、湘南・スカ色の前面塗り分けに違いがあり、似ている両車ここで容易に判別することができました。貫通扉に向かって斜めに塗り分けが入るのが111・113系、貫通扉に向かって角は丸く垂直に塗り分けられるのが115系となります。
ただし例外的に、幕張電車区から小山電車区へ移った113系1000番代は、115系と同様の塗り分けの湘南色となったり、逆に小山から幕張へ行った115系には、113系と同様の塗り分けとされたスカ色が存在した時期がありました。とはいえ、いずれにしても変わり種の車両であり、ほとんどの場合は塗り分けでどの系式かわかりました。
ただし、JR化後地域色が全国的に広まり、113系と115系が混在する路線では一目見ただけではどちらがどちらかわからないことも多くなりました。たとえば広島地区では先頭車は113系、中間車は115系という混結編成が存在し、瀬戸内色や黄色い中国地方の地域色を纏っていたため、どちらとするか非常に悩ましい編成も。
このように、後年の改造や塗装変更、複雑な編成組み換えなどで趣味的にも調べ甲斐のある系列となったのは間違いないでしょう。現在ではどちらの系式もかなりの数が減り、現役車両はわずかになってきました。大量にいた113・115系の完全引退も、そう遠くないのかもしれません。