185系

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【90年代の思い出】消えゆくJR初期世代 注目されつつある現役車両 保存はされている?

2023.10.27

‘14.11.1 中央本線 八王子―西八王子 P:近藤規夫
(鉄道投稿情報局より)

 近年、数を減らしつつある国鉄型が注目される機会が多いですが、1987年の分割民営化直後に登場したいわゆる「JR初期世代」の車両の引退も続いており、少しずつですが、数を減らしてきています。ここではごく一部ですが、動向が気になる車両をご紹介します。

■今も乗れる現役「JR初期世代」の車両は?

▲団体臨時列車として運行される783系。JRグループ初の新型として登場し、「ハイパーサルーン」と愛称が付けられた。

’21.12.5 鹿児島本線 小倉 P:西村 将
(鉄道投稿情報局より)

●JR北海道 721系

 721系は1988年に登場した近郊型電車。登場年からもわかるように、JRとなってすぐに運行を開始した車両のうちの一つです。長らく安泰かと思われた同車ですが、JR北海道は2022年の発表で、2030年度までに721系の全車である135両を「高効率機器を採用した電車へ更新」するとしており、実際に今年より廃車が開始されています。ですが現状は初期車も含め、まだまだその活躍は続いてます。

●JR西日本 681系

 「サンダーバード」「しらさぎ」などで活躍する681系。かつては北越急行に直通する特急「はくたか」にも使用されていましたが、北陸新幹線金沢開業で2015年廃止に。また2024年3月には北陸新幹線敦賀延伸に伴い、「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀止まりとなることが決定。681系に何らかの動きが起こることも予想されます。

●JR九州 783系

 783系はJR九州の特急型電車で、JRグループ内で初となる新規系式の車両ということで話題になりました。既存の技術を活用しつつも、車体中央に客扉を配した独特な構造や、スピード感ある前面形状など、国鉄時代のイメージを覆す斬新な車両でした。1989年にはローレル賞を受賞し、その後もリニューアルや塗装変更を受けつつ活躍をしていましたが、近年になり廃車が発生。徐々にその数を減らしつつあり、今後の動きが注目されます。

●長野電鉄 2100系

 長野電鉄で「スノーモンキー」として活躍する2100系。これは元JR東日本の253系「成田エクスプレス」で、3両編成2本が2011年にデビューしました。うち1本は長電オリジナルカラーになっているものの、もう1本は「成田エクスプレス」時代同様のカラーリングを維持しており、懐かしい姿を今も見ることができます。

 253系自体、他のJR初期型車両と比べて引退が早かった車両(2010年に「成田エクスプレス」運用から撤退)でしたが、今もこの長野電鉄の2100系と、JR東日本でも後年増備された200番代をベースにした1000番代が東武直通特急の運用に就いています。

■保存車もあるJR初期世代

▲JR四国の2000系の試作車に当たる「TSE」。中間車は解体されたが、両先頭車が保存されている。

‘18.7.3 予讃線 八十場―坂出 P:守屋浩二
(鉄道投稿情報局より)

 JR初期世代の車両でも保存車は各地に存在しますが、車庫内や留置線で保管されているものであったり、そもそも全車が解体処分されてしまったりと車種によって状況は異なります。直近では、JR東日本初の特急型である651系最後の1本が配給輸送され、251系や215系などに関しては全車解体されました。JR西日本でも681系の試作車に当たるクロ681-1001が、吹田総合車両所見学ツアー時に姿を見せたものの、その後解体され現存しません。

 そんな中、253系はカットボディの他、クロ253-1は長野総合車両センターに、後の209系である901系 クハ901-1は東京総合車両センターの入り口に保存されています。鉄道博物館には400系新幹線やE1系新幹線が。リニア・鉄道館にも300系の量産先行車など、90年代を代表する新幹線車両が常設展示されています。

 気動車ではJR四国では2000系のプロトタイプとなる「TSE」の両先頭車は多度津工場で、今年引退したJR東海のキハ85系も美濃太田車両区にて保管されています。苗穂工場で保管されているJR北海道キハ281系試作車の「キハ281-901」に関しては、先日行なわれた工場公開時に見学することもできました。また、JR貨物屈指のハイパワー機関車であったEF200形の試作車 EF200-901は日立製作所の水戸工場にて保存されているなど、一部の車両は今も現存しています。

 鉄道車両を保存するためには、乗り越えなければならないハードルが多いのも事実。ですが、JRという新しい時代を作り上げた革新的な車両たちが、少しでも多く残ってほしいと願うばかりです。

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P:石井裕哉

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