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特集・コラム

かつては路面電車アクセスに 90年前のミステリアスなトンネル、封鎖へ。

2023.11.21


P:諸富光法 

 神戸市三ノ宮の駅前通りにある構造物。このトンネルのことを、いつしか地域の人々は「ガリバートンネル」と呼び始めました。ガリバートンネルとは、大きい方の入口から潜ると小さくなり、反対側から潜ると元の大きさへ戻るという、ドラえもんに登場するあの道具のことです。

ガリバートンネル内部と外観の詳しい写真はこちら

 この構造物の正体は、ズバリ地下道への入口。戦前から存在していたそうで、90年を超える長い歴史を持ちます。無機質なデザインに年季が入り、パックリ口を開けたモンスターのようにも見える出で立ちのこの「ガリバートンネル」、かつて路面電車が走っていた頃は、地下から電停へのアクセスのために道路の中心部にも設置されており、全部で4つ存在していました。その後、時代が流れと共に路面電車は廃止されたものの、トンネルは歩道に設置された1つだけが残されていました。

 そして、残されたその最後の1つも三ノ宮駅周辺の再開発工事の本格化により、11月6日をもって閉鎖されました。機能を失った現在は、言わば「オブジェ」のような存在としてその姿を留めていますが、今後工事の着手に向けて撤去が予定されており、姿を消すのも時間の問題です。空襲や阪神淡路大震災を耐え抜き、この地の生き証人である「ガリバートンネル」を、形がある今のうちに撮って触って記録しておきたいものです。

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