text & modeling:瀧口宜慎(RMM)
photo:羽田 洋
階段を降りた先の小さな踏切、そこを行き交うのは本線級の列車たち…。そんなある種の「ギャップ」を感じられるのが、この山陽本線尾道周辺の情景と言えます。こうした風景は鉄道模型にはもってこいのジオラマテーマとなり得ます。そこで今回は、鉄道模型雑誌『RM MODLES』編集スタッフの一人がこの尾道のジオラマを作った作例をご紹介します。
■鉄道模型雑誌編集者の性
ある意味当然なのかもしれませんが、鉄道模型雑誌の編集スタッフは皆、模型作りが大好き…少なくとも本誌編集スタッフはそうなのです。ですから誌面で競作などとなると、うれしい反面、強すぎる拘りやプライド、読者からの反響などない交ぜになり、いつしか編集スケジュールそっちのけで製作に没頭。作品が完成して気が付けば、まだ手付かずの編集頁の山に愕然とさせられる次第。
■モチーフとしたのは山陽本線の「尾道」周辺
▲実際の山陽本線 尾道〜東尾道間。
‘19.6.1 山陽本線 尾道〜東尾道 P:中川 建
(今日の一枚より)
鉄道模型ジオラマにおける「ミニシーン(小さなジオラマ)」とは、イコールで限られた空間という解釈もできます。そういった小さな世界に「浸れる」ような風景を…となると抒情的でエモーショナルな空間だろうと考え、関連するワードでネットの画像を検索すると、踏切やローカル駅の風景が多い結果となりました。
▲16番スケールながら、ベースはA3サイズの木製パネルに収めている。
そんななかで踏切であれば小さなスペースで纏まりそうだと思ったのと、久しぶりに国鉄本線級の路線を製作テーマとしたかったこともあり、数々の映画やドラマの舞台(ロケ地)ともなった山陽本線東尾道~尾道間にある千光寺下踏切をモチーフとすることにしました。
▲急行型電車もまだ走っていた国鉄時代の山陽本線をイメージ。
いままで誌面を飾った投稿作品でも何度かモチーフとなっている場所で、見どころは踏切前後の石段で作られた趣のある路なのですが、20m級車1両が置ける飾り台にしたいので、A3サイズの木製パネルをベースとし地形はスタイロフォーム、レールはKATOユニトラック、踏切はPLUM製品などを使って表現しています。
カントで傾く車両の躍動感や山側から見た踏切を通過する列車の姿など、想像通り情緒ある景色を再現できたと思います。