▲大井町線で活躍する東急9000系。
‘11.10.24 東急電鉄大井町線 旗の台 P:鈴木拓也
(鉄道投稿情報局より)
西武鉄道にて進められる予定の「サステナ車両」と呼ばれる他社車両を譲受し、2030年までVVVF化率100%を目指す計画ですが、2023年9月26日、ついにその詳細が発表。譲受する車両は東急電鉄の大井町線で活躍する「9000系」と、小田急電鉄の「8000形」なのがわかりました。
■レイル・ファンたちを中心にSNSで話題に
2022年3月に発表した資料の中で言及された「サステナ車両」の記述。この「サステナ車両」の定義として、「無塗装車体、VVVF制御車両等の他社からの譲受車両」としており、大手私鉄が他社車両を譲り受けるとのことで話題になりました。
▲小田急8000形のうちリニューアルを受けた編成(8059F)。
‘14.2.27 小田急電鉄小田原線 千歳船橋―祖師ヶ谷大蔵 P:遠藤雅之
(鉄道投稿情報局より)
この「無塗装・VVVF制御」という定義から「ステンレス、もしくはアルミ車体の車両ではないか」と、レイル・ファンたちの間ではこの車両が何になるか予想が相次いでいましたが、この度正式に東急9000系と小田急8000形の譲受が決定しました。この発表前より、東急の置き換え計画の時期や、ステンレス無塗装車体のVVVF車という理由から、東急9000系は有力視されていました。反面、VVVF制御に更新されていながらも、普通鋼の塗装車体となる小田急8000形の導入は大方の予想を覆す結果となり、SNSを中心に驚きの声が見られました。
■そもそも東急9000系と小田急8000形ってどんな車両?
●東急9000系
東急9000系は1986年に登場した車両で、東急で初めてVVVFインバータ制御を採用した系式です。外観は軽量ステンレスのボディに、切妻スタイルと角形ヘッドライトを持った前面廻りが特徴的で、このスタイルは後に登場する東急1000系や2000系などにも踏襲されていくこととなります。
東横線と大井町線(9007Fのみ)に導入され、東横線では2004年から開始されたみなとみらい線へも直通しました。ですが、5050系の導入や副都心線への直通工事対象から外されたことで、順次全車が5両に短縮の上大井町線に転属し、現在に至ります。また大井町線には、9000系と仕様が似ており「9020系」に編入された元2000系も5両3本が活躍しており、こちらも譲渡対象となるのか否かが注目されます。
●小田急8000形
▲千代田線からJR車が乗り入れるようになり、日常的にE233系と並ぶことも増えた小田急8000形。
‘20.10.16 小田急電鉄 小田原線 町田 P:吉原勇樹
(今日の一枚より)
小田急8000形は、1983年に登場した車両で、他の高性能車との併結や箱根登山鉄道線への乗り入れも対応し、また各停から優等種別までをこなせるマルチな車両として開発されました。製造時は界磁チョッパ制御でしたが、後年行なわれた徹底した更新工事により、現在ではVVVFインバータに改造された編成のみが活躍してます。また、床下機器のみならず、内装も徹底してリニューアルされており、今年で登場から40年経った車両とは思えないほどまだ綺麗な印象を受けます。
そして旧5000形が引退した今、小田急の通勤車において、普通鋼製のアイボリー地にロイヤルブルーを纏う最後の形式となりました。
■導入線区と時期は?どんな光景が見られる?
いずれの車両の導入時期としては、2024年度以降から2029年度にかけて順次導入予定と発表されています。そして2024年度に運行開始する第1編成となる車両は小田急電鉄8000形とし、東急9000系については2025年度以降順次運行開始を予定しています。
東急9000系が導入される線区は多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線を予定しており、飯能駅では日常的に地下鉄直通の車両が乗り入れ、さらに狭山線などでも野球開催時などに他社車両の直通も見られることから、東横線の元同僚である5050系と肩を並べることも期待できそうです。また西武秩父駅では、同じく元東急車たちが活躍する秩父鉄道との共演も見られそうです。
小田急8000形の導入線区は国分寺線と発表されており、乗り入れこそないものの、国分寺駅ではJR東日本の中央線と並ぶことから、こちらでも思わぬ共演を見ることができるでしょう。
‘23.08.25 東急電鉄 大井町線 荏原町~中延 P:藤井理行
(今日の一枚より)
そして何よりも、今まで顔を合わせることがなかった西武車との組み合わせは、レイル・ファンとしては見逃せないもの。どのような姿となって現れるかも含めて、今後の動向が注目されます。
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