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峠を支えた機関車EF59「24号機」が異端と言われたワケは?鉄道模型で解説!

2023.09.27

modeling & text:佐々木大悟
photo:羽田 洋

※この記事は『RM MODELS』126 2006年2月号の記事を元に作成しております。一部情報は当時のものとなりますのでご了承ください。

■戦前の傑作 EF53を改造して生まれたEF59

 EF53は国産初のF級電気機関車であるEF52の改良型として1932年に登場し、その後に登場するF級旧電機の礎となった戦前を代表する形式です。 前方ヘヒサシ状に突き出した形状の屋根先端部や内側軸箱式の先台車などクラシカルなディテールと、スマートな印象を与えるスタイルが高い人気を集めました。戦前は特急「富士」「 櫻」 といった優等列車の牽引などに用いられて東海道線の花形的存在となり、16・18号機はお召指定機にも選ばれた名機です。戦後も幅広く使用されましたが、 SG(列車暖房用のボイラ)を搭載していないことから活躍の場が狭められ、1963~68年にEF59への改造を受けて山陽本線瀬野~八本松間、いわゆる「セノハチ」の補機に転身して1984年まで活躍を続けた機関車です。

■ 「セノハチ」の異端児、 EF59 24

 さて、山陽本線の急勾配の難所、通称「セノハチ」 と呼ばれる瀬野~八本松間で上り列車の補機として昭和40~50年代に活躍していた機関車がEF59です。EF59は全24両が改造車で、 まずEF53の全19両から改造され、 それでも山陽本線増発の際に不足することからほぼ同じ性能のEF56をベースとして5両が追加された。ここで紹介している2005年発売の24号機はそのラストナンバーで、EF56改造車の中で唯一角型ボディを持つ2次型を種車としており、EF59ファミリーの中でも異端児としてファンの注目を集めたナンバーです。

■新規車体で再現されたEF59バリエーション

 製品に目を向けると、 前述の通りEF59自体は2004年にEF53ベースの15号機として製品化されているものの、今回の24号機はEF56改造車のため全くの別物。しかも、これまで同社から発売されていたEF56は丸いボディを持つ1次型のため、今回のボディはそれとも全く異なる完全新規製品になりました。 下廻りではEF56 2次型〜EF59 24の特徴である外側軸受式の先台車を再現。これ自体はそれほど注目すべきものでもないが、 内側軸受式の15号機と重連させると好対照です。

■そんなEF59を鉄道模型で楽しむには?

 EF59の活躍期間は20年以上にわたっており、 そのため時代によって後押ししてきた列車編成も様々です。 旅客列車で最も華やかな運用だったのが、EF58が牽引機に復活した1972~79年の関西ブルトレ「あかつき」「彗星」「明星」でしょう。 当時それぞれ最大で5~7往復が運転されていた全盛期で、 使用された車両も20系から14系、24系、24系25形と様々。 現在は各メーカーのブルトレ製品ラインナップも充実しているので、どの編成も容易に再現することが可能です。15号機と重連を組んで楽しむのであれば、もちろん貨物列車の長大編成が最適。 貨物列車の後補機運用は基本的に重連で行なわれており、 先頭に立つ本務機はEH10、EF15、60、65、 66など。中間はコキ10000系や50000系のコンテナ貨車から2軸貨車、タンク車など多種多様です。ただし、 鉄道模型の運転において後補機というのは協調が難しく、各自研究・調整が必要となるでしょう。抜本的解決策としてはDCC化、難しい場合は思い切って動力をオミットした補機専用としてしまうことも考えられるでしょう。

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 大きなデッキに運転台廻りのゼブラ塗装。この、ものものしい出で立ちの旧型電機は、セノハチこと、山陽本線瀬野~八本松間に存在する連続急勾配区間の上り線で後補機として活躍したEF59です。

 同機は戦前の花形電機EF53、EF56 から改造されたもの。いわばサラブレットといえる機関車たちが、当初の任を解かれ最後の務めとして勾配区間の補機として投入され、文字通り縁の下の力持ちといえる活躍を1980 年代半ばまで見せていたのです。

 本書は『鉄道車輌ディテール・ファイル 瀬野機関区のEF59』Part1・Part2 を合本とし、冒頭にカラーページを追加した愛蔵版としてリイシューしたもの。戦前製旅客電機の姿を色濃く残すEF59 全24機の1両ごとの記録集として、是非、手に取って欲しい一冊です。

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『RailMagazine』編集部秘蔵の瀬野~八本松(セノハチ)の写真から、力強く勾配を登る下枠交差パンタのEF59 10号機のポストカードと、珍しく雪に見舞われた瀬野~八本松を行くEF59の一般貨物列車のポストカードの2枚セットが付きます。

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