text:鉄道ホビダス編集部
模型写真:羽田 洋
1997年に常磐線特急である「フレッシュひたち」に投入されたE653系。当初より基本編成4色、付属編成1色の計5色が用意され、それぞれの編成ごとに個性を放っていました。ですが常磐線特急からの引退と新潟地区の特急への転用や、波動用編成の登場などでそのカラーバリエーションは増えていきました。そのカラフルな歴史をグリーンマックス製の模型と実車で振り返ります。
■オリジナルの5色
E653系の登場時は、常磐線沿線にゆかりがある観光資源をイメージしたカラーリングと、モチーフとするシンボルマークが先頭車側面に施され、それぞれ偕楽園の梅と好文亭をイメージした「スカーレットブロッサム」、塩屋崎海岸と灯台をイメージした「ブルーオーシャン」、国営ひたち海浜公園とスイセンをイメージした「イエロージョンキル」、霞ヶ浦と帆曳舟をイメージした「グリーンレイク」、そして1998年に増備された4両の付属編成には袋田の滝と紅葉をイメージした「オレンジパーシモン」に塗装されました。
なお、2013年3月改正で全ての「スーパーひたち」「フレッシュひたち」の運用がE657系で置き換えられたことにより、全編成が改造・塗装変更の上後述の新潟車両センターに転属しました。
■新潟車両センター転属後の4色
▲「いなほ」50周年でさまざまなマークが掲出されていた時期のE653系。
‘19.10.19 羽越本線 酒田 P:渡辺恭平
(今日の一枚より)
常磐線特急での運用を失ったE653系は、新潟地区で活躍していた485系の置き換えへと回りました。転属に際し新区分の1000番代となり、内外装のリニューアルにより表情が大きく変わりました。また、塗装も「いなほ」用編成はクリーム色とオレンジ色のツートンに夕陽や波の模様が入ったカラーリングに変更されました。また2015年からは、北陸新幹線金沢延伸開業で廃止となった特急「北越」や、快速「くびき野」の後継となる特急「しらゆき」用の1100番代が運行開始。こちらも耐寒耐雪改造を施し、白・青・オレンジ色と鮮やかな塗装に変更されました。
さらに2017年には、青色系単色の「瑠璃色」と赤色系単色の「ハマナス色」の編成が1本ずつ登場。ここでもまたカラーバリエーションが生まれることとなりました。
■波動用として勝田車両センターへ帰ってきた編成
▲2023年8月に、K70編成に続く2本目となる勝田への里帰り編成が現れた。塗装は「フレッシュひたち」風の塗り分けながら、これまでにない水色となった。
‘23.8.30 常磐線 龍ヶ崎市~牛久 P:足立憲昭
(鉄道投稿情報局より)
E657系の登場で一時はE653系の配置がゼロになっていた古巣である勝田車両センターでしたが、2018年に新潟車両センターからU108編成が「里帰り」することになります。そして編成名を「K70編成」とし、塗装はなんと往年の国鉄特急色風の装いに改めた上で、主に臨時列車や団体列車などで使用する波動用編成として活躍することとなりました。さらに2023年8月にはU102編成が同じく勝田車両センターへ里帰りし、こちらの塗装は往年の「フレッシュひたち」時代のE653系風の塗り分けながら、色はこれまでには存在しない「水色」とされ、話題を集めました。
この夏の水色登場で、E653系の歴代塗装バリエーションはなんと11を数えることになりました。登場した時から現在に至るまで、カラフルな活躍を続けるE653系。新登場となった水色の活躍も期待したいですね。