185系

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意外な車両もランクイン? 鉄道車両の最速記録ってどのくらい?

2023.09.14

text:鉄道ホビダス編集部                     ‘10.9.14 東北新幹線 大宮 P:河澄拓哉
                             (鉄道投稿情報局より)

 現在の新幹線の最高速度は、東北新幹線の320km/hで、在来線(私鉄含む)最高速度は京成電鉄AE形「スカイライナー」による160km/hですが、営業運転を除く速度記録はどのようになっているのでしょうか。リニア・新幹線・在来線のそれぞれの記録を見ていきましょう。

■超電導リニアの速度記録

  • 2015年4月21日 603km/h(超電導リニアL0系)

  現在建設が進められているリニア中央新幹線で使われる予定の山梨リニア実験線にて、2015年にL0系によって樹立されたのがこの603km/hという記録です。現在、磁気浮上式(リニア)も含めたすべての鉄道における世界最速記録として、ギネスブックにも認定されています。

■新幹線の速度記録

  • 1996年7月26日 443km/h(955形300X)

 それではリニアではない、鉄軌道である新幹線の速度記録はどうでしょうか。新幹線における最速記録は、1996年に高速試験車955形「300X」が樹立した443km/hになります。これは国内におけるリニアを除く鉄道の最速記録として、今もなお破られていない記録になります。なお、最速記録樹立時の先頭は写真のラウンドウェッジ型の先頭車である955-6で、これは現在リニア・鉄道館にて同じく狭軌蒸気機関車の速度記録を持つC62 17と、リニアの試験車両であるMLX01-1とともに展示されています。

■在来線の速度記録

  • 1985年11月26日 179.5km/h(381系)

▲晩年の日根野電車区所属の381系C編成。このうちC601編成が179.5km/hのレコードホルダーであった。

‘10.12.30 東海道本線 塚本 P:泉川智彦
(鉄道投稿情報局より)

 さて、それでは高速鉄道ではない、在来線の速度記録についてです。これは381系が1985年に樹立した179.5km/hという記録が今もなお国内における在来線、そして狭軌鉄道の最速記録となっています。これは国鉄時代に行なわれた在来線スピードアップのための試験で、湖西線においてこの記録が出ました。この高速試験に際して、試験用の主電動機、台車、パンタグラフに交換した日根野電車区所属の381系により行なわれました。その後レコードホルダーとなったこの日根野の381系ですが、特に装飾などがなされたわけではなく、後年はC601編成を名乗り、「はんわライナー」や「やまとじライナー」といった運用で細々と活躍を続け、2011年3月に廃車となりました。

 ●381系以前の狭軌最速の車両は?

  • 1960年11月21日 175km/h(クモヤ93000)

▲塗装はぶどう色2号を地色にクリーム色1号の帯が入る。

‘67 甲府 P:笹本健次
(消えた車両写真館より)

 先述の381系の記録以前はこのクモヤ93000による175km/hが狭軌最速でした。この速度記録を達成したのが、現在の東海道本線六合駅付近となる島田〜藤枝間で、この六合駅には狭軌最速記録を達成した記念碑があることなどから、この記録もまた多くの人が知るものとなっています。
 ちなみにこのクモヤ93形は、モハ51078の改造により生まれた架線試験車でしたが、高速試験車としての側面もありました。改造とはいえ台枠のみの流用で、車体や台車、電装品はすべて新製。主電動機も高出力なものが搭載されていましたが、駆動方式は吊り掛け式で、形式の通り旧型国電とされる電車でした。

 進化と共に高速化も進む鉄道。その記録は日進月歩です。

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