text:鉄道ホビダス編集部
近年では駅のリニューアルが活発になり、昭和の時代に作られた案内看板というのは、徐々に姿を減らしつつありますが、とある新幹線の駅にはまるで時が止まったかのような昔ながらの看板が今でも現役で「案内」し続けています。
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■山陽新幹線 新岩国駅に残る案内看板
山陽新幹線の新岩国駅は広島と徳山の間に位置しており、駅構造は2面3線で、2番のりばと3番のりばの間に通過線が挟まれる造りになっています。また、それ以外にも地上には保守用車が停まる基地が存在しているほか、乗り換えとして、隣接する「清流新岩国駅」から錦川鉄道 錦川清流線へ乗り換えができます。列車は早朝わずかに上下それぞれ1本ずつ「ひかり(レールスター含む)」が停車する以外は、すべて「こだま」のみが停まる山間にある新幹線駅です。
ほぼ「こだま」のみの停車駅ということもあり、広いコンコースが混み合うことは滅多になく、山々に囲まれた立地から長閑な印象を受ける駅ですが、この駅には人知れず、黒地に白抜き文字で、フォントもピクトグラムもどこか味わい深い案内看板が至る所に残っています。
開業は1975年3月の山陽新幹線 岡山〜博多延伸開業と同時で、これらの看板たちはおそらくその時代頃から今まで残り続けたものと思われます。特に「みどりの窓口」の看板は、いわゆる国鉄書体に近いフォントで書かれた文字とお馴染みのロゴの組み合わせがなんともいい味わいを出しています。
ですが、流石に新幹線のピクトグラムについてはJR化後に登場した700系レールスターを模したものが使われており、更新は行なわれているようです。ですが、交換する際も「黒字に白抜き文字」というフォーマットは変えていないのがまた印象深いです。
■公衆電話の看板はなんと「ダイヤル式」
その他にもこの駅には興味深い看板がいくつか残されています。その中でも一際目立つのがこの公衆電話の看板。その絵柄も昭和を思わせるデザインをしていますが、注目すべきは公衆電話のイラスト。なんとこちらはダイヤル式を模した絵となっています。もちろん現在は公衆電話こそあるものの、緑色の見慣れたプッシュ式のものが置かれています。
絵のデザイン自体も、電話を持っている人の髪型がそのまま受話器になっていたりと、なんともユーモラスな意匠が愛らしい看板です。ダイヤル式の電話はもうありませんが、ここに公衆電話がある限り、この場所で末長く現役で案内をし続けてほしいものです。
これらの看板は、もちろんちゃんと案内として成立している以上、今もなお現役と言えるもので、博物館で「昔の案内看板」として見るのとはまた別な印象を受けます。ただし、こうした看板は予告なく撤去・更新されることもしばしばあるので、見られるうちに見ておくのが良いでしょう。
新幹線の本線上から国鉄型が姿を消してからすでに10年以上が経過しましたが、駅の中には今もこうして国鉄時代の面影を残し続けている看板が、ひっそりと活躍を続けています。
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