185系

特集・コラム

「えっ?これが模型!?」中高生の作った鉄道模型ジオラマがスゴい!

2023.09.09

text:鉄道ホビダス編集部
photo:RMM・月刊とれいん編集部

 実物同様のリアルな情景(ジオラマ)を作り込み、そこへ車両を走らせる…というのは、鉄道模型のメジャーな楽しみ方の一つです。かつては手作りの工作が主な工法でしたが、近年では3Dプリンタやレーザーカットなどの機械も登場し、より精密に、リアルに情景を作り込むことができるようにもなってきました。そんな中、2023年8月に東京・新宿で高校生を中心とした鉄道模型作品のコンテストである、「鉄道模型コンテスト2023」が開催されました。ここではそんな中高生達が作り上げた珠玉の作品の一部をご覧に入れましょう。

↓作品の写真をもっと見る↓

■最優秀賞を受賞!樹木はなんと一つずつ作り分け!?『泰緬鉄道』

 こちらは灘中学校・高等学校鉄道研究部の作品。第二次世界大戦中、日本軍が捕虜や現地住民を使い建設した「泰緬鉄道」ですが、現在もその一部がタイ国有鉄道によって運行されています。その泰緬鉄道の中でも特に有名な観光地でもある「クラセー橋」付近をイメージして製作された情景がこちら。
 驚くことに南国の樹木は一つ一つ手作りで、スズメッキ銅線を撚り線に、緑に着色された半紙を細かく刻み、まぶすように接着して葉を再現したもののほか、東南アジアらしい雰囲気を醸し出す剣葉植物たちは3Dプリント製などと作り分けられています。また、タイらしい光景を演出する水上住宅は極細木材とグリーンマックスのコルゲート板シールで手作りされています。

■緻密に手作りしたお城『世界遺産「姫路城」』

 こちらは姫路城を1:160スケールでフルスクラッチした岡山理科大学附属高等学校科学部の作品。お城の本体はカラーボードから作られており、細かな瓦はなんとプラ棒を実物と同じ本数並べ、それらを全て手作業で貼り付けたものというから驚きです。白壁はジェッソで表現し、独特の「でこぼこ」感を再現。さらに石垣は100円ショップの手芸用ガラス粒を接着した上に塗装で再現されており、まさに手作業に手作業を重ねて緻密に作り込まれています。

■フィギュアの配置にも物語が『田舎のかをり はじめて来たのになつかしい…』

 京都は美山かやぶきの里をモチーフに製作された、白梅学園青修中高一貫部鉄道模型デザイン班の作品。ずらりと並んだかやぶきの屋根は麻紐を使って再現しているほか、やな場や畑のトタン柵には100円ショップの帯状クラフトバンドで作られており、随所に工夫が凝らされています。さらに情景をよく見てみると、観光やな場の上の橋には制服の生徒たちの姿も見え、フィギュアにも気を使われているのがわかります。

■一畳レイアウト部門 建物まで完全再現!『広島展望台』

 岩倉高等学校鉄道模型部は、広島電鉄の路面電車を中心とした、広島市街の情景を再現しています。こちらは広電の市内線と専用軌道の宮島線の風景を、一畳という限られたスペース内に凝縮しています。
 情景は原爆ドームや宮島線宮島口ターミナル、そしてフェリーで渡る厳島神社も再現し、広島の情景をうまくまとめ上げられています。なお、かっちりと組まれた広島市内の建物たちも実物をお手本に既製品の加工だけでなく、必要に応じて自作もして作り分けています。

■車両部門 リアルな錆に注目!『EB403』

 岡山理科大学附属高等学校科学部の車両作品である「EB403」。この車両は地元岡山にあった鉱山である「柵原(やなはら)鉱山」で活躍していた電気機関車を、1:30スケールで再現したものです。小さい車体と大きなパンタグラフの対比がなんとも愛らしい機関車ですが、車体はペーパー製、パンタグラフは既製品ではなくプラ棒で製作されています。動力こそありませんが、年季の入った錆が浮いた車体はドライブラシで再現されており、ペーパーでできていることを忘れさせるほどの完成度となっていました。

 今年も大盛況のうちに閉幕した鉄道模型コンテスト。来年もまた、学生たちによる緻密で美しい作品たちで賑わうことでしょう。

↓作品の写真をもっと見る↓

◆より詳しい会場の様子は今月の『RM MODELS』で!

◆詳しくはこちら!

広大な情景付きレイアウト(ジオラマ)を常設し、模型趣味を思う存分楽しめる空間を持つ…。それはこの趣味における最大の「夢」の一つではありますが、その夢を「夢」として諦めず、現在の生活環境でやれることからやってみませんか?

本特集では、そんな「夢」を叶えた、あるいは実現に向けて準備を進めているモデラー諸氏の実例を実際に取材して詳しく紹介。ホビールームを構築するためのテクニックや、驚愕の裏ワザを紹介していきます。

●付録 映える撮影用背景紙(複々線バージョン)

◆詳しくはこちら

今回付録の背景紙は、333号の「車両基地」に続く正面撮影シリーズ第2弾として、「複々線」がテーマです。そして背景紙シリーズとしては過去最多の4パターンを収録しているので、より汎用性の高い内容となっています!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加