text & photo:RM
取材日:’23.8.26 取材協力:宇都宮市、宇都宮ライトレール
1990年代から欧米を中心に都市再開発の新しい手段として波及してきたLRT(Light Rail Transit)。低床式でバリアフリーにも考慮した最新型路面電車により、歩行者や交通弱者に優しく、環境性能にも優れたのりものとして成果を出してきました。翻って我が国においては、車両単位で既存路線に投入される事例は多く見られたものの(それ自体、富山での事例のように画期的な効果を発揮しているものも多く見られますが)、路線単位で新規建設というところまではなかなか導入が進まなかったのが実情でした。
この度、2023年8月26日に新規開業となった宇都宮ライトレールこそ、日本での初の完全新規LRTと言える存在であり、日本で新規開業の路面電車としても70年以上ぶりとなります。宇都宮市は過去においても路面電車が敷設されていたことはありませんでした。
▲電車を前にしたダンスパフォーマンスで華やかに場が盛り上げられました。
当日は早朝の一番列車からの開業ではなく、午前中から昼間にかけて式典やパレードが行われ、招待客を乗せた電車を運行。一般の旅客のための電車は15時過ぎから、整理券による定員制で運行開始となりました。
▲開業記念式典での鏡割りのシーン。
▲宇都宮駅を背後にして、電車とダンサーの皆さんがパレード状態で進みます。
▲招待客を乗せた1番列車が発車。
▲車内では記念のフライヤーを掲げる人の姿も。
今回開業の区間は、宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地までの14.6kmで、所要時間は約48分。最高速度は40km/hですが将来的に専用軌道区間ではさらなるスピードアップが見込まれます。運行頻度はラッシュ時8分間隔、オフピーク時が12分間隔です。運賃は初乗り150円、全線乗車の場合で400円。現金の他、ICカードでの利用も可能で、特にICカードの場合はどのドアからでも乗降できる信用乗車方式となっています。
将来的にはJR宇都宮駅を越えて同駅西口側へも路線延伸の計画があり、今後の発展にも大いに期待できる宇都宮ライトレール。全国の都市からも注目を集めそうですね、
▲宇都宮駅東口停留場には90度カーブして入線してくる線路配置。
▲広々とした専用軌道区間もあります。
▲車社会の宇都宮で、いい意味での違和感を強く発揮していくことでしょう。