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夏は何かと気になる「弱冷房車」連結位置や温度設定ってどうなってるの?

2023.08.30

text:鉄道ホビダス編集部

 今年の夏も猛暑が続き、お天気ニュースでも気温情報や熱中症対策などが繰り返し報じられていますが、そんな暑い夏に気になるのが「弱冷房車」の存在です。たまたま乗った車両がなんとなく暑いなと思ったら弱冷房車だった…という事例だけでなく、逆に冷房が苦手だから積極的に弱冷房車を選ぶ方など様々ですが、今回は各社どのあたりに弱冷房車を連結しているのか、また設定温度の傾向などを調べてみました。

■連結位置は会社・路線ごとにまちまち

▲JR東海に導入された315系。2号車に弱冷房車を設定。

 JR東海に導入された新型通勤電車である315系ですが、この車両はJR東海在来線では初めてとなる弱冷房車が導入されました。8両編成のうち2号車に割り当てられ、これまで分割編成が多かったJR東海の車両において、315系は8両貫通の固定編成となったことが弱冷房車導入のきっかけとなりました。

 そんな中、弱冷房車の位置を公式サイトで案内している鉄道事業者も多く存在します。東急電鉄を例に取ると、東横線が10両が9号車、8両が7号車。目黒線が相鉄車以外が6・8両ともに4号車、相鉄車が7号車。田園都市・大井町・池上・多摩川線が2号車としており、他社乗り入れの多い東急ともなると、少々複雑になります。

 他にも、東武鉄道ではスカイツリーライン・日光線・伊勢崎線は浅草寄りから3両目。東上線は池袋寄りから2両目。アーバンパークラインは柏寄りから3両目と公表。京王電鉄の京王線は、京王八王子・橋本寄りから3両目。井の頭線は、先頭車から3両目と公表しています。

 また、西日本では弱冷房車を2両設定する事業者も。JR西日本では近畿・広島地区の4両以上の列車、および金沢・岡山地区の3両以上の列車に対し、上り、下り双方の2両目に設定をしているため、4両編成以上の車両については弱冷房車が2両に。また、2019年6月より各線で弱冷房車の導入が始まったOsaka Metroの中でも、堺筋線は2号車・7号車と編成中2両設定されています。

 このように、同じ会社だったとしても、路線ごとに号車はバラバラですが、全体的にどちらかの先頭車から2〜3両目、もしくは編成中央付近に設定されることが多いようです。弱冷房車かどうかは基本的に乗り口に書いてあることが多いので、まずはここをよく見て乗ることが重要となりそうです。

■温度設定は若干高め

 鉄道車両の空調設定温度というのは、近年では各鉄道事業者のスマホアプリなどで、一部路線では温度確認ができる場合もありますが、基本、パッと見ですぐにわかることはそこまで多くありません。ただし、各社の冷房設定温度についても、一部事業者は公表をしており、都営地下鉄の例では、浅草・三田・新宿線は冷房25度で弱冷房車は28度。大江戸線のみ冷房22度で弱冷房車は26度としています。東京の深層部を走る大江戸線が他路線と比べて、かなり設定温度が低めとなっています。

 他の事業者についても1〜2℃程度、他の車両より設定温度を高めとするのが相場なようです。

■乗り入れ事情で弱冷房車が「移動」?

‘19.9.19 相模鉄道 相鉄本線 相模大塚 P:瀬戸靖彦
(今日の一枚より)

 基本的に一旦決まったら動くことはない弱冷房車ですが、事情により移動することもあります。JR東日本の通勤型車両は、特段の事情がない限り概ね4号車に設定される路線が多いです。その中で、埼京線も10両貫通編成でかつては4号車に弱冷房車が設定されていました。ただ、2019年11月に相鉄との直通開始に先立ち、弱冷房車の位置を相鉄に合わせる形で9号車に移動することになりました。これは相鉄に乗り入れない東京臨海高速鉄道70-000形も同様で、現在埼京線を走行するE233系7000番代・70-000形・12000系のいずれもが9号車が弱冷房車になっています。

 各事業者・各路線ごとに細かく位置や温度も少しづつ異なる弱冷房車。自分に合った車両に乗ることで、この厳しい暑さを乗り越えていきましょう。

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