185系

特集・コラム

国鉄時代に381系が投入された列車の「ある共通点」とは…?

2023.08.23

text:RM

 現在伯備線の特急「やくも」にて、「最後の国鉄型電車を使用する特急列車」として活躍している381系。振り子式車体傾斜装置を採用し、曲線区間でも高速を維持して走行することが可能…というのはご存じの通りです。

1編成が特急色となって最後の活躍をしている「やくも」の381系。P:安達智彦

 この381系が投入された列車は、歴史の古い順に「しなの」(中央西線・篠ノ井線)、「くろしお」(阪和線・紀勢本線)、「やくも」(伯備線・山陰本線)の3つ。厳密にはもう少しありますが、車両転配の都合などで投入されたにすぎず、振り子式の本領は発揮していません。

「しなの」に後年投入された改造グリーン車のクロ381形10番代。P:梶村昭仁(消えた車両写真館より)

 ではこの3つの列車に共通する要因とは何だったのでしょうか。いずれも曲線区間が多い線区、しかも直流電化…というのはある意味当たり前として、実はもう一つ重要な要因があります。

「くろしお」の381系は、末期に283系とイメージの近いブルー系塗り分けとなりました。P:橋本正利(お立ち台通信より)

 それは、「走行区間のほとんどにおいて、この381系が投入された時に初めて電化された」ということ。振り子式車両はカーブで車体が傾くことから、パンタグラフと架線の位置関係が通常の車両とは変化することになります。従来の架線位置のままだと、パンタグラフが架線から逸脱する可能性があり、そのためそれを考慮した位置に架線を張る必要があるのです。新規電化開業区間であればあらかじめ通常車両・振り子式車両どちらにも対応する位置に架線を張ることができるため、381系が投入された区間(の大部分)はいずれもその時に新規電化されたのでした。

 したがって、3つの列車とも381系化される以前は気動車特急であった…というのも共通点と言えるかもしれません。国鉄時代、通常の電車から振り子式電車へと使用系列を変更した列車は存在しませんでした。
●「しなの」…キハ181系
●「くろしお」…キハ80系
●「やくも」…キハ181系

1981年に撮影された、気動車時代最末期の「やくも」。既に架線柱が建立されています。P:桑原浩幸

 気動車からの電車化、さらに振り子式の効果によって大きなスピードアップが図られたことになります。

 JR以降に誕生した振り子式電車の中には、パンタグラフと台車を直結させて、車体の傾きとは関係なくパンタグラフの位置を通常車両と同じようにする仕組みを備えたものが出てきました。これなら既存の電化区間への投入も可能です。首都圏で見られた唯一の振り子式車両であるE351系「スーパーあずさ」はこの方式で既存電化路線で振り子装置を動作させていたことになります。

 さて、その381系に着目した新刊のムックが出来上がりました! 題して「ザ・ラストモーメント 381系「やくも」」。

 381系の興味深い振り子装置の発達史と、後継の振り子車両たちを一覧できる記事を掲載。そしてこの「やくも」のラストワンとしての存在を珠玉のグラフでご紹介します。
主な新規記事
・読者傑作選グラフ…約500点におよぶ応募のあった読者作品から厳選。
・スペシャルギャラリー・381系「やくも」/EF64 1000の牽く貨物列車
・瀬戸大橋開通35周年、開業時回顧録
・津山まなびの鉄道館
主な再録記事
・日本の振り子車パイオニア381系
・走り始めた“WEST EXPRESS銀河”
・岡山、国鉄天国!
・岡山地区における国鉄型気動車の現況
ほか

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