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現代に復活した新設路面電車!宇都宮LRTって乗るとどんな感じ?

2023.08.23

text & photo:鉄道ホビダス編集部

 いよいよ2023年8月26日の宇都宮ライトレール開業が今週末に迫った8月21日、報道関係者や地元住民を対象にした試乗会が開催されました。路面電車がない地域への新規路線開業は実に75年ぶりともなることで、レイル・ファンのみならず非常に注目されるこの路線ですが、編集部が一足早く乗車してみました。

■専用車両「ライトライン」HU300形

 使用される車両は「ライトライン」の愛称が付けられたHU300形で、全17編成が在籍しています。構造としては「ブレーメン型」と言われるものです。このHU300形は3車体3台車という構造を持っており、これは低床で見えにくいですが、床下を覗くと確かに1車体につき1台車が付いており、その造りがわかります。

 車内は窓が大きく明るい印象で、車体と同じイメージのブラックに黄色のアクセントが各所に入ります。また、つり手形状は丸みを帯びた四角形となっており、ユニークなデザインに。天井にはディスプレイも完備され、より現代的に進化した路面電車となっています。

■市街地から川を渡り工業団地へ 目まぐるしく変わる車窓も魅力!

 宇都宮駅東口から出発する宇都宮ライトレールは、しばらくは鬼怒通りの中心を行く併用軌道で、都市部の路面電車といった雰囲気ですが、宇都宮大学陽東キャンパス停留場を出発すると立体交差で道路をまたぎ、平石停留場へと向かいます。ここから先はしばらくはのどかな田園風景が広がり、途中鬼怒川を渡るのは車窓の見どころの一つです。この鬼怒川橋梁は真新しいコンクリート製で、ダイナミックな見た目の橋を、黄色と黒の路面電車がゆっくりと行き交う姿はフォトスポットともなりそうです。

▲こちらが芳賀町工業団地管理センター前停留場〜かしの森公園前停留場までの間に存在する60パーミルの急勾配。こうしてみるとダイナミックに下ってきていることがわかる。

 ここから先は清原工業団地に属する高校や市民センター、スタジアムなどを経由したのち、県道69号線に沿って走ります。この付近は飲食店や家電量販店、ホームセンターなど立ち並び、活気あふれる街並みになっています。そして県道69号線から北へと逸れる芳賀町工業団地管理センター前停留場から、かしの森公園前停留場までの間には60パーミルという、レイル・ファン諸氏なら驚愕するであろう急勾配の谷を駆け抜けていきます。この勾配区間もまた見どころの一つで、望遠で狙うことでよりその急な坂道が圧縮され、印象的な風景を収めることができそうです。この谷から程なくすると、終点の芳賀・高根沢工業団地停留場に至ります。

■気になる開業日の運行予定は?

 先述の通り、開業日は2023年8月26日を予定しています。当日は開業記念イベントなども予定されていることから、「開業日特別ダイヤ」として一般運行開始はイベント終了後15時からを予定しています。15時台の運行は、宇都宮東口停留場発が15:00/15:05/15:15/15:30/15:35/15:45の6本。芳賀・高根沢工業団地停留場発は15:00/15:15/15:30/15:45の4本として、それ以降は概ね15分間隔での運行を予定しているとしています。なお、運行される時間帯は15時から23時台までです。

 また、注意したいのは乗車方法で、15時台・16時台に宇都宮駅東口停留場を出る下り電車に関しては、定員を120人以内として乗車時間指定の整理券を配布予定としています。この整理券配布は宇都宮駅東口停留場にて当日朝8時からを予定していますので、開業日に乗りたい人は必ず確認しましょう。また当日混雑が見込まれることから、可能な限りICカードでの乗車を推奨しています。なお、宇都宮ライトレールは「totra」という宇都宮地域のICカードのほか、SuicaやPASMOといった全国利用可能なICも使えます。

 令和の時代に蘇った完全新路線の路面電車。一時はモータリゼーションの流れで消えかかった路面電車ですが、海外で発展した「LRT」という次世代路面電車の考え方が日本にやってきたことや、環境への配慮、低床化により高齢者でも利用しやすくなったことなどから、近年見直されつつあります。この宇都宮ライトレールの新規開業から、今後全国的にLRT新路線が広まるのか、注目されます。

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