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特集・コラム

一気に2つの鉄道が消える⁉妙見の森とは?

2023.08.22

 大阪府と兵庫県の県境にある「妙見の森」が2024年6月24日をもって営業終了が予告されました。妙見の森とは、能勢電鉄が運営する複合施設で、妙見山の中腹に位置し、自然とふれあう事ができる遊びのエリアです。バーベキューテラスやアスレチックもあり、関西都市圏の自然を満喫しながらアウトドアを楽しめるスポットとして知られています。

 

▲妙見の森への玄関は能勢電鉄妙見口(左写真)。同駅の近くには観光案内所と観光案内の看板が立っている(右写真)。

 

■関連する2鉄道も廃止

 妙見の森には、妙見の森ケーブルと妙見の森リフトがあり、観光施設としての存在だけでなく、交通手段としての役割も担ってきました。妙見の森へ鉄道でアクセスする場合、まず能勢電鉄の妙見口から徒歩でケーブルカーの黒川駅へ行き(徒歩約20分)、ケーブルカーで山上駅へ移動すると、ふれあい広場やバーベキューテラスへと到達します。さらにその先へは、リフトを利用することで日蓮宗の寺院、能勢妙見山へと登ることも可能です。

 しかし、妙見の森の営業終了によりケーブルカーもリフトもその役目を終え、どちらも廃止される予定になっています。つまり、鉄道が2路線も一気に姿を消すことになるのです。

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●妙見の森ケーブル

 黒川駅~山上駅を結ぶ0.6kmの路線で、高低差は223m。軌間は、狭軌(1,067mm)が多いケーブルカーとしては珍しい標準軌の1,435mmを採用しています。車両は1号車「ほほえみ」号と2号車「ときめき」号の2両体制。木材を貼り付けるなどしてリニューアルが施されており、古さを感じませんが、1960年に再開業(戦時中に不要不急路線として一時廃止)した当初からのもので、還暦を越えた古豪です。同ケーブルカーが廃止されると、標準軌を採用するのは神奈川県にある箱根十国ケーブルのみとなります。ちなみに、この箱根十国ケーブルは、妙見の森ケーブル(当時:妙見鋼索鉄道)の一時廃止時のものを転用したため、同じ標準軌となっているというカラクリがあります。

▲車両は、タイトル写真と比較すると山頂側と麓側で顔が異なっているのがわかる。麓側は天窓が付くのでオデコのヘッドライトが下部に付く。綺麗な車体と内装だが、60歳超の大ベテランだ。

 

●妙見の森リフト

 ふれあい広場駅~妙見山駅を結ぶ0.6kmの観光リフトです。ゆっくりしたスピードで12分程度かかるので、思いのほか長距離を移動する感覚を受けます。周囲には桜やアジサイが植えられており、春と初夏は鮮やかな花々が出迎えてくれます。鉄道なの?と思われるかも知れませんが、ロープウェイの一種であるリフトは立派な鉄道の仲間です。ロープをレールと捉えれば、トロリーバスやガイドウェイバスよりは、鉄道らしさが感じられるのではないでしょうか。

▲リフトはゆっくり時間が流れているような感覚が味わえる。レジャー感満載の観光リフトは、どこかノスタルジックな雰囲気も併せ持っているところが魅力だ。

 

■廃止は前倒しも…

 前述の通り、2024年6月24日限りでの営業終了が発表されていますが、前倒しになる可能性も含まれています。というのも、廃止届提出先の近畿運輸局の局長が、届出に係る廃止日より早めても公衆の利便を阻害する恐れがないと認めた場合、能勢電鉄は廃止日を繰り上げたい意向があるようです。来年6月まで時間があるからとのんびりしていたら、乗り損ねてしまうかも⁉早いうちに訪れておくことをお勧めします。

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