185系

特集・コラム

直流用から交直両用に大変身!「元113系」の415系って何?

2023.08.17

text:鉄道ホビダス編集部

▲415系800番代 車齢50年を越えても現役であったが、413系とともに521系へと置き換えられて2021年3月に営業運転を終えた。

19.12.28 七尾線 七尾 P:廣瀨 匠

 現在はJR九州管内でわずかに残るのみとなった415系。1960年に登場した401系(50Hz/主電動機出力100kW)と421系(60Hz/主電動機出力100kW)を始祖とする415系電車は、交直両用の近郊型で、50・60Hz両対応の主電動機出力120kWというのが特徴として挙げられます。そんな415系ですが、国鉄分割民営化後に800番代という区分の車両が改造により登場します。

■実は大ベテラン!113系初期車改造の415系

 1991年に七尾線が直流電化されたため、交流電化区間の金沢に直通可能な交直流電車が必要となりました。そこでJR西日本は、直流電化区間のみ走行する「北近畿」用485系の交流機器を、113系に移設して交直流化。こうした経緯で415系800番代が誕生しました。
 ちなみに交流機器を取り外され、直流機器のみとなった485系は系式も183系と改め、「北近畿」などで継続して使用されました。

 さて、この415系800番代の特筆すべき点として、改造元となった113系が初期の古い車両であったことが挙げられるでしょう。種車となった113系は、1964〜1968年にかけて製造された0番代初期車であり、引退前の時点で車齢は51〜55年となっていました。

▲吹田へ配給される415系。窓が「非ユニット窓」と呼ばれる窓の四隅が丸いのがわかる。これも種車が初期車である証である。

‘22.10.6 北陸本線 金沢 P:宮島昌之
(鉄道投稿情報局より)

 この世代の113系0番代は下段上昇、上段上昇式の非ユニット窓を備えており、窓の四隅が丸いのが特徴です。なお、前照灯は「大目玉」などと称される大型の白熱灯からシールドビームに交換されています。
 ちなみにC02編成のクモハ415-802が集約分散式冷房装置WAU102形を搭載して異彩を放っていたほか、クハ415-807(旧クハ111-360)とモハ414-810(旧モハ112-15)は113系時代に冷房改造試作車となった車両の生き残りであったりと、特徴的な車両も多く存在していました。

 2016年にC01編成、2017年にC04編成が廃車となったものの、2020年時点では9編成が活躍しており、勢力を維持していました。ですが、先述の通り521系の導入が2020年より開始され、全編成が置き換え対象に。そして2021年3月13日、惜しまれつつ営業運転を終えました。

▲世代交代が間近に迫った頃の七尾線。415系と新顔521系が並ぶ。

’20.09.03 七尾線 本津幡 P:奥村佳子
(今日の一枚より)

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