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特集・コラム

【すごい段差】新幹線史上類を見ない凸凹編成 E2系の検測列車ってなに?

2023.08.13

text:鉄道ホビダス編集部

 時速200km/h以上の高速で走る新幹線の車両たち。そのスピードの速さから、空気抵抗などを理由に在来線車両とは見た目も大きく違います。流線型を描く先頭部も、突起物が少ない車体も、全て空気抵抗を減らすことが目的ですが、新幹線の歴史上類を見ない「凸凹編成」がかつてごく稀に出現していました。

■妻面がチラ見え!?E2系の検測列車

‘11.8.18 東北新幹線 那須塩原 P:岡田雄太郎
(鉄道投稿情報局より)

 百聞は一見にしかず、まずはその編成写真を見ていただければその「異質」さがわかるでしょう。E2系東京方から2両目に明らかに他とは違う車両が組み込まれています。これは検測のために組み込まれた車両で、E926形「East-i」が定期的に行なっている検測が、全般検査などでできない時に運行されました。

 East-i自体がE3系をベースに、ミニ新幹線(山形・秋田新幹線)への乗り入れに対応しているため、車体断面が在来線規格となっており、フル規格の新幹線車両として製造されたE2系に組み込まれるとこうした凸凹編成になったのでした。
 この「異種連結」をするために、E2系側には車両情報制御装置と無線装置に改造を加えていました。

▲TR8012台車(E926-3)。

P:RM

 組み込まれていたのはE926-3、またはE926-13で、いずれも通常のEast-i編成では3号車に組み込まれる軌道測定車で、台車として軌道検測台車を装備している点が特筆されます。この車両だけ2両いたのは、片方が検査等で使用不可の時にも、片方をE2系に組み込んで検測が行なえるようにするためであり、予備編成がないEast-iならではといえます。

■N21編成自体も特徴的な編成だった?

 East-iが走れない時の検測で、軌道測定車を組み込む指定編成であったE2系N21編成ですが、この編成もまた他のE2系とは異なる特徴がありました。それが量産先行車であったことです。
 E2系は分割併合装置のないS6編成と、分割併合装置のあるS7編成が量産先行車として1995年に落成しますが、S6編成は改番の上北陸新幹線専用のN編成(N1編成)に編入、S7編成は分割併合装置があったことからJ編成(J1編成)に編入されることになります。その後J1編成は東北新幹線が八戸まで開業した2002年にN編成(N21編成)に編入され、北陸新幹線専用の編成となりました。 

▲量産先行車のN21編成。

‘11.8.2 上越新幹線 大宮 P:佐久間悠太
(鉄道投稿情報局より)

▲量産車のN10編成。前面形状が量産先行車と比べて変更となったのがわかるかと思う。

‘12.5.27 東北新幹線 白石蔵王 P:河澄拓哉
(鉄道投稿情報局より)

 ちなみに、E2系の量産先行車ですが、量産車と異なる点として先頭部の形状が若干鋭いことが挙げられます。大きく違うわけではないですが、量産車の方が若干「ふっくら」した見た目をしています。

■現在の検査はどうしてる?

 ただ、イレギュラーだったこの凸凹編成も、そうそう見られることはない珍しいものでした。そしてN21編成とE926-13は2015年に廃車となっています。現在、East-i使用不可の時の検測は、営業用に使われるE5系1本とE7系1本によって行なわれています。

 レイル・ファンたちの記憶に強く残ったこの凸凹検測編成。それは特殊な検測車の事情が生み出した産物だったのです。

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