text:鉄道ホビダス編集部
先日、鶴見線へのE131系導入が発表されましたが、その車体は従来のE131系で採用されていた拡幅車体ではなく、幅狭のストレート車体でした。同じ系列内で違う車体幅を採用する例は他にもありますが、さまざまな制約により敢えて幅狭車体を採用した、という場合もあります。
■地下鉄乗り入れで車体幅に制約
‘12.5.20 中央本線 東小金井 P:佐久間悠太
多くの場合地下鉄に乗り入れるとなるとトンネルの建築限界から、地上区間より車体に関する厳しい制約が設けられることが多いです。E231系やE233系では地下鉄乗り入れ用の番代のみ幅狭のストレート車体になり、さらに非常用貫通扉などを設置しなければならないことから、前面デザインも他の番代と大きく異なります。一見すると同じように見えない車両同士ですが、同系列の電車になります。
‘15.4.21 東急電鉄 田園都市線 たまプラーザ P:芦原やちよ
逆に、一見同じように見える東急5000系列は、より複雑な車体幅の構成となっています。5000系トップナンバーの5101Fのみ東急従来車と同様の2,770mm、5102F以降の5000系と目黒線向けの5080系は2,778mmとなっており、これは乗り入れ先の地下鉄規格に合わせた形となります。一方、東横線向けの5050系の車体幅は拡大され2,798mmと、同系列のなかで3つもの車体幅が混在しています。また、5050系の中では例外があり、10両編成4000番代のうち、「Shibuya Hikarie号」4110Fは5000系と同様の車体幅を採用し、田園都市線などの東急各線に物理的に入線可能な設計としています。
■同一会社ながら規格が混在する阪急電鉄
阪急電鉄も車体幅が神戸線・宝塚線(神宝線)系統か、京都線系統かによって異なります。神宝線系統と京都線系統では、地下鉄直通の有無、さらに成り立ちの違いなどから、車体規格や電装品に違いがあります。電装品や番号の付番方法などは現在ほぼ統一されましたが、車体幅に関しては現在も神宝線と京都線で異なります。厳密に言うと、神宝線車両は阪急標準の幅狭車体を、京都線車両は阪急標準より幅が広く、逆に長さは短い車体を採用しています。これは、京都線車両が直通先の地下鉄堺筋線の規格に合わせているためです。なお、京都線のこの規格の車両は、車両限界の関係で神宝線には入線できません。
「地下鉄直通のために幅狭車体を採用」という例は多く見られますが、自社線内に制約があり、逆に地下鉄乗り入れ車の方が幅広車体になるという現象が起きている例になります。
このように同じ会社、同じ系列内で車体幅が違う車両が混在する理由として、設備面での制約が大きく関係していることが多いです。地下鉄乗り入れによるものから、地上区間でも路線そのものに制約がある例など、理由は場所によってさまざまです。鶴見線E131系も、路線設備の持つ制約によりストレート車体にしたとされており、同一系式でも、導入路線の事情に合わせた車体を作らなければならない場合もあるのです。
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