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たった2両の山手線レア車両!?「サハE235形500番代」の生まれたワケ

2023.07.27

text:鉄道ホビダス編集部

 様々な理由から、量産されることなく少数派となってしまった鉄道車両というのは、探してみると意外にいるものです。東京都内、ひいては日本の大動脈とも言える山手線でも、実はそんな少数派車両が存在します。今回はたった2両の存在である「サハE235形500番代」を見ていきましょう。

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■変則4ドアの山手線10号車

 かつて山手線E231系には6ドア車が2両組み込まれていました。ですが、設置予定となったホームドアに6ドア車は対応することができず、2010年より全車が新造される4ドア車に置き換えられることとなりました。

 その時、10号車に組み込まれたのが変則的なドア配置の「サハE231形4600番代」でした。これは工事などで山手線車両が品川〜田端間で並行する京浜東北線の線路を使用する際、京浜東北線用E233系の先頭10号車と扉位置を合わせ、同線のホームドアにも対応させるための措置でした。

■E235系の量産ペースアップのために登場

 山手線を走っていた先代のE231系500番代は、中央・総武線へ転属する際11両から10両化されました。この時外されたのが変則ドアのサハE231形4600番代でした。外したサハE231形4600番代は編入改造により「サハE235形4600番代」としてE235系に組み込まれることになります。
 ですが、E235系11両1本を作るのに、E231系の運用離脱からサハE231形4600番代の転用改造を待たなければなりません。そのため十分な改造工期の確保と新造ペースを上げるのを実現するため、11両編成2本のみが全車新造とされました。

 新造された変則4ドアの2両は「サハE235形500番代」と番代区分されました。これはE231系改造の4600番代とは異なりsustina車体で製造されたため、組み込まれたトウ04・トウ05編成は11両全車の車体形状が揃っているのが特徴です。

■余ったサハE231形4600番代4両の運命

▲E231系500番代のオール4ドア車が登場した頃。写真の先頭車次の車両が変則4ドアの「サハE231形4600番代」。窓割りが特徴的なのがわかるかと思う。なお同車はE233系をベースとしている。

‘10.2.13 東海道貨物線 相模貨物―横浜羽沢(大船―戸塚) P:清水智文

 2両が新造されたため、サハE231形4600番代にはこの時点で2両の余剰が発生します。さらに山手線用E235系0番代の総編成数はE231系500番代より2本少ない50本とされたため、最終的に4両の余剰が発生しました。余剰となったのはサハE231の4602、4604、4605、4606で、最終的にこれら4両は廃車・解体されました。いずれも2011年6〜8月製と、4600番代の中でもかなり終盤に製造された車齢の若い車両で、在籍した期間はわずか9年ほどでした。
 とはいえ、余ったのが4両という比較的少数であったことに加え、路線事情に合わせた変則的なドア配置の車両であったこともあり、転用をするにもしずらかったというのは考えられます。

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