text:安武有彬(RMM)
photo:羽田 洋
2022年の末、TOMIXから「築堤大カーブS字レールセット」が発売されました。 皆さんは単線のS字カーブと聞いてどこを思い浮かべるでしょうか?イメージする場所はやはり個人の思い入れや育った地域差が出るもの。九州出身の私は鹿児島本線(現・肥薩おれんじ鉄道)の上田浦~肥後田浦または薩摩大川~西方、長崎本線の多良~肥前大浦あたりが真っ先に浮かび、そのような光景をこの製品で再現したくなりました。
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■製品について
製品を端的に言うと、築堤上にカント付の緩いカーブレールをS字に配置したものです。カント付のS字カーブは従来製品でも再現できますが、今回の製品はそれを築堤上で楽しむことができるのが特徴です。特にカーブが緩いため、実車を見ている感覚に浸ることができるのが大きなポイントとなります。カーブ半径は1,641mmと大きく設定され、自然に近いカーブの走行シーンが再現できるとあって、走行派のみならず、展示台としても十分活用できそうです。
なお余談ですが、半径1,641mmは実物換算では246mとなり、実はまだまだ急カーブの部類に入ります。実際の線路がいかに緩いカーブで敷設されているかを、この記事を書きながら改めて認識させられました…。
■レールプランで楽しもう!
このS字レールセットは、走らせてこそ魅力が引き立つ製品と言えるので、ぜひレイアウトを組んで走行させてみたいところ。本来は延長部を組み込んだ壮大なプランを!と言いたいところですが、現実的にスペースの問題もあるかと思うので、最もシンプルなプランをベースに多少アレンジを加えた一例をご紹介します。
●上路式鉄橋とのプラン
少し前に同じくTOMIXから発売となった「上路式鉄橋セット」。比較的ホットなこの製品を組み込んでS字カーブと一緒に楽めるようにしたのがこのプラン。築堤は高さが4番(橋脚換算)のため、上路式鉄橋の10番の高さまで上げています。また、せっかくなのでS字レールセットに付属の上路式ガーダー用の架空裸線路柱も取り付けてみました。
●コンパクトプラン
築堤上のS字カーブはやはり見上げて楽しみたいもの。そうなると高い位置に置く必要があり、大きさがネックになってきます。そこで、極力コンパクトにしてみたのがこのプラン。カーブはC140のミニカーブレールを使っていますが、高架に対応していないため、この部分はスタイロフォームで土台を作っています。こうした小工作が必要なプランということもあり、その流れで奥の直線は築堤上に駅を設置してみました。この部分はt1.0のスチレンペーパーまたはカラーボードで地面を作り、築堤のエンド部にt7.0のスチレンパネルで断面隠しの蓋を付けただけの手軽な加工で実現できます。もちろん駅は設けずにシンプルに仕上げても良いでしょう。
なお、ミニカーブレールは走行可能な車両が限られますが、TOMIX製の近郊型電車や機関車、寝台客車は意外と対応しているものがあり、それらで楽しむ分には十分でしょう。
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◆詳しい「築堤大カーブ」の記事はこちらで!「Nゲージ大図鑑2023 NEW MODEL SPECIAL」
2022年春から2023年春までの1年間に発売されたNゲージ車両モデルをはじめ、線路や1:150スケールの建物(ストラクチャー)やパーツ類のほか、鉄コレ、バスコレなどのコレクタブルアイテムまでを網羅したNゲージ年鑑の最新版が登場。約450品目の製品群を掲載するカタログ編は見やすく、探しているモデルの特徴を確認しやすくなったダイジェスト方式へ刷新。
また、Nゲージ大図鑑名物である、各メーカーの企画担当者インタビューでは、KATO、TOMIX、グリーンマックス、マイクロエースの大手4社の企画担当者に、昨年1年間を振り返りつつ、これからの展望、新製品の見どころを語ってもうコーナーが完全復活します!!
更に、巻頭特集の有名人モデラー訪問のシリーズでは、今、鉄道趣味全開で、テレビ番組からYoutube動画まで出演する、読売テレビアナウンサー山本隆弥さんのNゲージレイアウト、Nゲージコレクションを拝見。山本アナウンサーのエピソードのこもったコレクションを見せていただき、鉄道模型談議を繰り広げます。