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15年前の京浜東北線は試験車になった!?神出鬼没な電車「MUE-Train」のナゾ

2023.07.11

text:鉄道ホビダス編集部

’21.5.20 東北本線 東鷲宮~栗橋 P:徳丸大樹
(鉄道投稿情報局より)

 今から30年前になる1993年に、京浜東北線で産声をあげた209系電車。2007年より導入されたE233系1000番代により、同路線からは2010年に撤退しましたが、元・京浜東北線の209系たちは房総地区を中心に今も現役です。そんな中で、事業用の試験車に改造された209系が1本だけいるのをご存知でしょうか?

↓神出鬼没な試験車「MUE-Train」の写真一覧はこちら!↓

■未来の電車を形作るために生まれた「MUE-Train」

 京浜東北線で活躍した209系を改造し、2008年に生まれたのがこの「MUE-Train」です。これはJR東日本での研究開発を目的に改造された車両で、現在E235系などの最新車両に搭載されている次世代車両制御システム「INTEROS」の開発もこの車両で行なわれました。

 また、現在では6両編成で運用されるMUE-Trainですが、当初は「台車の性能向上試験」に供されたサヤ209-8を編成中央に組み込んだ7両編成でした。ですがこのサヤ209-8は最終的には試験終了として、改造から2年経った2010年に廃車となっています。

 各車両にはどういった試験内容を行なうかが公表されており、1号車〜3号車は「空気バネ式車体傾斜機構の試験」「降雨時のブレーキ力向上試験」に使用され、そのうち1号車には「WiMAXの検証試験」にも供されます。廃車となった4号車サヤ209-8は先述の通り「台車の性能向上試験」に、5号車〜7号車は「営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発」に、そのうち7号車のみは「営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発」の試験も行ないます。また、全車を通して「次世代車両制御システムの開発」を行ないました。ちなみに4号車サヤ209-8が廃車になったことでの号車番号の繰り上げは行なわれておらず、現在でも4号車が欠番になった状態になっています。

■実は「最古参」なんです

 現在も営業運転で活躍を続ける209系ですが、実は本線に残り車籍を有した209系の中で、一番古いのがこの「MUE-Train」なのです。種車となったのは209系量産第2号に当たるウラ2編成で、2023年現在車齢は30年を数えます(1993年2月落成)。また、各形式こそ「クヤ」「モヤ」「サヤ」と事業用車を示す「ヤ」に変更された程度で、番号は改番されることなく活躍しているので、その歴史を車番からも見て取ることが今もできます。

■今も日々各種試験を繰り返す…

▲近年設置されたと思われる線路設備モニタリング装置。先頭車クヤに設置される。

‘23.7.7 山手貨物線 大崎〜品川 P:東條ともてつ
(鉄道投稿情報局より)

 「MUE-Train」に改造されてから今年で15年。ちょうど「ウラ2編成」であった時期と「MUE-Train」の時期が半分半分になり、これからはMUE-Trainとしての時間の方が長くなっていきます。現在でも新たな試験機材を載せている様子が見られ、近年では床下に真新しい線路設備モニタリング装置を取り付けていることも確認されています。

 まだ見ぬ次世代車両の開発のために、今も日々試験を繰り返しています。

↓神出鬼没な試験車「MUE-Train」の写真一覧はこちら!↓

◆直近の試運転の様子はこちらから!

【新しい床下機器も?】209系「MUE-Train」が総武本線・成田線内を試運転

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