text & photo:なゆほ
60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は「テレビの世界から出てきた」というコンセプトのもと、色をモノクロで着色したちょっと変わったプラレール2車種をご紹介します!(編集部)
プラレールに限らず、鉄道玩具・模型は実在の車両をモデルとしたものが多く、実車に基づいた彩色がされています。漫画やアニメなどのフィクションに登場する車両も色設定を元に彩色されているのが基本です。しかし、プラレールにはそれに当てはまらない製品が存在します。今回は「テレビの世界の姿を再現した」というコンセプトが共通する、モノクロカラーのプラレールを2つご紹介します。
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▲2004年に発売された「異次元列車」
1959年の誕生以来、プラスチックの特性を活かしたカラフルな世界を作り上げてきたプラレールですが、誕生45周年を迎えた2004年に風変わりな製品が発売されました。それが「異次元列車」です。
異次元列車は、円谷プロ製作の特撮作品「ウルトラQ」(1966年)の第28話「あけてくれ!」に登場する、物語のメインを勤める列車です。物語の登場人物が息苦しさを感じている「現実の世界」と、その全てから解放される「理想の世界」を繋ぐ移動手段の一つとして、空をかける小田急ロマンスカーNSEが使われています。劇中では、都電の車両がいきなり車庫から空高く舞い上がり消えていくシーンや、留置線に留置してあった電車が忽然と姿を消したとのセリフもあり、何かと鉄道と関わりのある話になっています。
この「異次元列車」のプラレールは一般の販売ルートには乗らず、誌面販売と特撮系店舗での限定発売として流通していました。「箱根の旅セット」でNSEが復刻されたばかりという事もあり、「小田急ロマンスカーNSEのプラレール」としては初のカラーバリエーションとなったこの製品はコアなファンに人気となりました。
「異次元列車」がモノクロ仕様となったのは、「ウルトラQ」がモノクロで放送されていた事によります。当然、劇中に登場するNSEの実車と特撮用ミニチュアには色があるのですが、テレビの世界の雰囲気をそのままプラレールに落とし込んだというコンセプトが面白い製品です。箱は2004年当時の通常品とは異なり、「ウルトラQ」が放送されていた1966年当時のプラレールをイメージした、通称「上下箱」を数十年ぶりに採用しているのも特筆できます。
こうして、つい最近まで異色のプラレールとして知られていた「異次元列車」ですが、2020年になって思いがけない「お仲間」が発売されました。それが「ノスタルジックTOKYO 0系新幹線」です。
▲2020年に発売された「ノスタルジックTOKYO 0系新幹線」
「ノスタルジックTOKYO 0系新幹線」は、1964年10月1日の東海道新幹線開業式の様子として様々なメディアで目にする「モノクロ映像の映る0系新幹線」をプラレールにしたという、これまた異色の製品。「ぼくもだいすき!たのしい列車シリーズ」の一つです。2020年の東京オリンピック開催を前に、1964年大会とセットで語られることの多い東海道新幹線開業をプラレールで懐かしむといったコンセプトだったようですが、ご存知の通り2020年大会は翌年に延期されてしまい、このモノクロ0系新幹線は少々浮いた存在になってしまいました。将来的にどう評価されるのが気になる製品です。東海道新幹線開業の記念切符を模したカードが付属しており、力を入れて企画していた事が伺えます。
1963年デビューの小田急ロマンスカーNSEと、1964年デビューの0系新幹線。カラーテレビが普及しつつあったものの、まだモノクロテレビが主流だった1960年代前半から半ばに登場した当時の新型車両です。当然テレビに映る機会も多かったはずなので、モノクロ塗装になってもあまり違和感なく仕上がっているのが見ていて楽しい製品ですね。
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