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特集・コラム

実際どうやってるの?乗ってるだけでは分からない電車の運転方法

2023.06.17

text & photo:鉄道ホビダス編集部

 自動車であればアクセルで加速し、ブレーキで減速、ハンドルで舵を取る…といった運転方法ですが、レールの上を走る鉄道車両はどのようにして運転しているのでしょうか。

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■「マスコン」で運転速度を制御する

▲E131系500番代の運転台。左手で操作する片手ワンハンドルマスコンを採用する。P:RM

 鉄道車両は基本的に手元にあるレバーを操作して運転操作をします。このレバーの加速側を司るものをマスターコントローラ、通称「マスコン」と呼びます。かつては左手側に力行(加速側・アクセル)を司るマスコン、右手側にブレーキハンドルという配列の2ハンドルタイプが主流でしたが、現在の在来線車両ではブレーキと力行が1本のマスコンで操作できる「ワンハンドルマスコン」が主流となっています。

 ワンハンドルマスコンの基本的な操作方法は、JRも私鉄も一緒で、レバーを奥に倒すとブレーキ、手前に引くと力行という形が長年採用されています。また、ブレーキと力行の境界にはニュートラルポジションがあり、ブレーキ時からここに引くとブレーキ解除、力行時にここに戻すと惰性走行となる仕組みです。

 そして、鉄輪と鉄のレールという摩擦係数の少ないもの同士で走行することから、制動距離も自動車と比べると大きく伸びます。そのため停車時は段階的に減速する必要がある上に、コンディション(天候や乗車率)によってブレーキングを開始すべきポイントは異なるため、その操作は非常に難しいとされています。

■様々なマスコンハンドル

▲アルピコ交通20100形の運転台。こちらは両手ワンハンドルマスコン。P:RM

 大まかな操作方法自体はどこの会社も変わりませんが、その形状は多岐にわたります。主流なのは片手ワンハンドルマスコンと両手ワンハンドルマスコンでしょう。主に片手ワンハンドルマスコンはJR各社での採用例が多く、左手で操作する形態が一般的です。なお過去には右手操作式の片手ワンハンドルもありました。

 両手ワンハンドルというのはその名の通りTの字形をした本体レバーを、両手で握り込んで操作するワンハンドルマスコンで、日本国内の鉄道では最も歴史が長いワンハンドルマスコンの方式となります。初採用は1969年に登場した東急8000系からで、以降私鉄車を中心に現在でも採用例があります。なおこの形状のマスコンはJRでの採用例はありません。

■運転体験も開催

 他の乗り物とは異なり、鉄道会社に入社してステップを踏まないとなかなか運転する機会がない鉄道車両ですが、近年では有料体験イベントの一つとして「運転体験会」というのも各地で開催されています。
 もちろん営業路線ではありませんが、車両基地の一角を使って低速の入換運転(車庫内で車両を移動させる運転)を体験できるものが多く、低い速度とはいえ数百メートルの距離を自分の手で運転操作できるということで各地で人気のイベント形態です。さらに一部イベントでは、同時に車掌になりきれる車内放送の体験もできるものもあり、以前よりも「鉄道車両の運行そのものの体験」というのが身近になりつつあるように感じます。

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