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これが新世代の「バテロコ」…!? J-TREC横浜事業所、リチウムイオンバッテリー式新型牽引車導入!

2023.06.13

text & photo:RM
取材日:’23.6.1 場所:総合車両製作所横浜事業所
取材協力:総合車両製作所

▲手前2両が、今回新規導入となった蓄電池式の牽引車。

 総合車両製作所(J-TREC)では、横浜事業所で搬出車両の輸送に用いる牽引車(DLや電車)が経年50年前後と老朽化をしていることから、新型の牽引車を完全新製の上で導入することになりました。

▲青い1号機。凸型のDL…ではなく、リチウムイオンバッテリー式で、エンジンは搭載されていません。

▲黄色い2号機。車体には「BATTERY VEHICLE」「ECOMO」「sustina」といったロゴが散りばめられています。

 センターキャブの凸型車体で、一見産業用のDLのように見えますが、この車両にはエンジン(内燃機関)は搭載されていません。実は大容量のリチウムイオンバッテリーを動力源とし、電気運転を行う蓄電池式車両なのです。電気運転をすることにより、排気煙や騒音の解消を図り、また脱炭素化にもつながることから導入が決定したとのこと。青い1号機と黄色い2号機の2両が同時に導入され、愛称は「ECOMO」(Ecological-Mobilityから)とされています。

▲キャブ下に位置する場所に、2基のモーター(主電動機)が搭載されています。

 さて、電気でモーターを駆動する方式…ということはてっきり通常の電車や電機と同じく台車内にモーターを架装しているのかと思いきや、そうではありません。キャブの床下のあたりに2基の大き目のモーターを搭載し、そこから推進軸(プロペラシャフト)で前後各台車の両軸に駆動力を伝達する方式となっています。これは、設計のベースとなったのが北陸重機製の産業用DLであり、その動力機構を踏襲したからとのこと。

▲ボンネット状の機器箱の中に、リチウムイオンバッテリー(写真左手)、インバータ機器(写真右手)が収められています。さらにキャブ寄りにはコンプレッサーも搭載。

 キャブ前後のボンネットのように見える部分は、正確にはキャブ寄りの1区画のみがボンネットでキャブと一体化されており、そこにはコンプレッサーを搭載。そこより車端寄りは独立した機器箱という扱いになり(実際、ボンネットとの間に切れ目がある)、そこにリチウムイオンバッテリーと制御用インバータが搭載されています。減速時には回生ブレーキが働き、自車に充電を行うことも可能となっています。

▲車両導入と同時に新設された充電スタンド。

▲キャブ下に設置された充電コネクター。車体前後用それぞれの充電口があり、また写真の反対側面にも設置されています。

 充電は、施設内に新設された充電スタンドからキャブ床下のコネクターにケーブルを接続することで行います。航続距離は走り方によって変わるため一概には言えないのですが、フル充電で100kmは走れそうなデータが出ており、事実上「電欠」に陥る心配はないでしょう。なお、最高速度は25km/hでリミッターが効くようになっています。

▲キャブ内の様子。床下に主電動機などを搭載している関係で床面が高く、室内高は低めです。横向きの運転台となっており、さらに補助席2席があり定員3名となります。

 さて、この牽引車、妙に車体が長いように見えますね。デッキの前後長にも余裕があり、オーバーハングも長めになっています。実はこれ、運転区間の地上設備に適合させるためで、2両重連にした際になるべくその重量を分散するための方策なのだそうです(従来は片側の動力車が電車だったために問題にならなかった)。

▲従来の主力牽引車であったDL・DD5515。神奈川臨海鉄道からの譲渡車で国鉄DD13に準じた設計の車両。

▲セミセンターキャブのDL・D-502(元・出光興産千葉製油所専用線)。近年は工場敷地内の入換に使われており、車両出荷時には使われていなかったようです。

 この新型牽引車、性能確認や習熟、さらに関係各所との折衝が完了次第、実際の運用に就く予定とのこと。主に深夜に動くため、実際の活躍を目にするのは難しいかもしれませんが、こうした縁の下の力持ち的存在も日々進化している…ということになりますね。

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(プレスリリースより)

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