text:鉄道ホビダス編集部
今やコンテナ輸送が主力となっている鉄道貨物輸送。見ると様々な色や形を持ったコンテナたちが積載されていますが、実は鉄道コンテナには規格というものがあります。今回はそんな中でも規格外コンテナを見分けるマークについて知っていきましょう。
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■そもそも何で規格があるのか?
JR貨物が主に運用する鉄道コンテナにはサイズによってそれぞれ規格が存在しています。この規格内であれば運用上の制約はなく全国を行き来することが可能となります。近年では積載する貨車の低床化などにより、従来よりも大きいサイズ・重さのコンテナを作ることができるようになりましたが、そういったコンテナは積載できる貨車や走行できる路線に制約があります。間違えて積めない貨車に積んでしまったり、入れない路線に入れてしまっては大変です。そこでこうした規格外コンテナは一目で「どう規格外なのか」がわかるマークをつけています。
■通称「ハローマーク」
こうした規格外コンテナには左側に菱形のマークが描かれています。これは規格外マーク、通称「ハローマーク」と言われるもので、それぞれの四隅に高さ(H)・長さ(L)・横幅(W)・総重量(G)を示すアルファベットが当てはまります。これらのアルファベット部分を黒く塗りつぶすことでそこは規格内であるという意味になります。例えば下記の図のようなマークが描かれた場合を想定しましよう。
この図だと高さを示す「H」のみが塗りつぶされておらず、それ以外は黒塗りされています。よって高さ方向が規格外となり、場合によっては積載貨車や入線できる線区に制約が出てきます。
■実例を見ていこう!
さて、ここからは実物のコンテナ写真を見て、それぞれのコンテナがどのように規格外なのかを考えてみましょう。上写真手前のUF44A形コンテナはハローマークのうち「H」と「L」のみが書かれています。よって高さと長さが規格外ということに。奥のUR48A形コンテナは「L」のみが書かれているので長さが規格外ということになります。
’23.5.5 東京貨物ターミナル P:三ツ矢健太(上2枚とも)
さてこの場合ですと、手前のU49A形コンテナは「H」「L」に加え「G」も書かれており、高さ・長さ・総重量が規格外ということに。奥のU50A形コンテナは「H」「L」が書かれ、高さ・長さが規格外となります。
‘18.5.20 函館本線 札幌貨物ターミナル P:石原幸司
(今日の一枚より)
赤と白、それぞれ1個しか存在しないレアコンテナである通称「赤パロマ」「白パロマ」のUR19A形コンテナも実は規格外コンテナ。こちらは「W」のみが書かれ、横幅が規格外なのが一目でわかります。
このマークがあることで、遠くからでも見た目でどこが規格外なのか、すぐわかるようになっています。積載時の事故防止という観点からすると、こうした視覚的に理解できるマークは非常に重要です。また趣味的にも、コンテナについているマークの一つがわかるだけで、貨物列車を見かけた際のコンテナウォッチがさらに楽しいものとなるでしょう。
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特別付録も、毎年恒例の「JR貨物機関車運用表・機関車運用番号入り 主要路線貨物時刻表」を最新版にアップデートの上で制作。機関車運用をしっかり研究して、撮影に役立てていただければと思います。また時刻表の部分は編集部独自のポリシーによるソートを行ったもので、最も撮影者が多い区間で時刻順に並べ直しており、沿線で列車を待つ時に便利さを実感いただけることでしょう。