text:鉄道ホビダス編集部
‘04.12.11 高崎機関区 P:浅路 誠
(今日の一枚Memoriesより)
現在もなお活躍を続ける国鉄型電気機関車のEF65。近年はまた数を減らしつつあり、その注目度は年々上がっていますが、一言に「EF65」といえど、そのバリエーションは多岐に亘ります。今回はそんなEF65にスポットを当てて、それぞれの違いについて見ていきましょう。
↓多種多様!EF65ファミリーの写真はこちら↓
■EF65の元祖 0番代「一般型」
‘09.9.3 東海道本線 摂津本山―甲南山手 P:池本和樹
(鉄道投稿情報局より)
EF65が登場する以前の東海道本線や山陽本線といった平坦線区では、旧型電機機関車のほか、新性能電機であるEF60・61などが活躍されていました。ですが、EF60は勾配での引き出し性能を考慮した結果、歯車比の関係で高速域の加速に難がある結果となってしまいました。そこで1965(昭和40)年にデビューしたのがEF65で、EF60をベースとしつつ、歯車比と主制御回路の変更を行ない、高速性能の改善を図りました。0番代は貨物列車の牽引用として開発され、塗装もブルー(青15号)をベースに前面廻りにクリーム色(クリーム1号)が入る通称「一般色」を纏いました。
この0番代は1965年から1970年までの5年間で、1次車から6次車までの計135両が製造され、JR化後も多くが活躍を続けましたが、2011年を最後に定期運用が消滅し全廃。EF65の中では最初に廃区分番代となりました。
■高速旅客・貨物牽引の命を受けた500番代「P型」「F型」
‘08.3.2 武蔵野線 東川口 P:宮本和雅
(鉄道投稿情報局より)
高速旅客・貨物列車の牽引用として一般型からマイナーチェンジを受けたのがこの500番代です。大きく高速旅客牽引用の「P型」と高速貨物牽引用の「F型」と分けられ、それぞれPassengerの「P」と Freightの「F」から取られています。
P型は20系客車牽引用として501号機〜512号機・527号機〜531号機が新造されたほか、535号機〜542号機が一般型から改造編入されました。これにより従来のEF60 500番代では対応できなかったブルートレインの高速化に貢献し、また塗装はEF60 500番代同様、20系の色と帯に合わせた「特急色」を纏ったことでレイル・ファンからも人気の的となりました。
また、「レサ」や「レムフ」といった10000系貨車で組成された特急貨物列車牽引用には「F型」の500番代が投入されました。P型と同番代ながら、こちらは重連総括制御を装備しており、連結器・ブレーキ装備に相違があるためスカート廻りがP型と比べて密度が高く容易に判別ができました。このF型は513号機〜526号機・532号機〜534号機が該当し、JR化後も17両全車が引き継がれましたがほとんどは解体され、現存するのは碓氷峠鉄道文化むらに保存されている520号機ただ1機のみです。
■旅客・貨物と幅広い運用をこなした1000番代「PF型」
‘92.5.3 東海道本線 東京 P:大須賀晋
(今日の一枚 Memoriesより)
1000番代「PF型」はその名の通り、旅客と貨物の両方で活躍できる万能機として、1969(昭和44)年から1972(昭和47)年と、その後約4年のブランクを開けて1976(昭和51)年から1979(昭和54)年まで、8次に亘り合計139両が製造され、EF65ファミリーの中では最多を誇ります。
長きに亘り製造された番代区分のため、その形態差は細かく異なります。また、民営化後にも外観や番代区分に変化が発生し、そのバリエーションの豊富さが魅力の番代でもあります。
また、先述の通り旅客・貨物の違いを問わない幅広い活躍を見せたため、時には花形のブルートレインを、時には縁の下を支える長大な貨物列車をと、活躍のシーンも様々でした。また、近年では旅客列車の定期運用を失った後も「工事臨時列車(工臨)」と呼ばれる列車の牽引に従事することも多く見られました。これにはかつてのブルートレインのエースが走る貴重なシーンということもあり、沿線は機関車ファンたちで賑わいました。
さらにJR貨物では制動距離を短くするため、ブレーキの改造を施した「常用減圧促進改造車」についてはナンバープレートが赤色に変更されたほか、青色のプレートも存在しました。加えて、100km/h超の運転をする車両は、新しい保安装置を取り付けるよう国土交通省から義務付けられた関係で、旅客会社の同機と区別するべく原番号+1000をした「2000番代」が2012年より登場。そのため現在JR貨物が所有するPF型は全て2000番代化されています。
■今も活躍を続けるEF65
国鉄の電気機関車としては最多となる308両が製造されたEF65一族。一般型はすでに全車が退役して10年以上が経過しましたが、PF型を中心に今もなお活躍を続けています。旅客会社ではすでに定期運用はありませんが、最後の500番代としてJR東日本で孤軍奮闘する501号機をはじめ、PF型もわずかながら在籍しています。また、JR貨物では運用を減らしつつも貨物列車牽引に今も従事しています。
近年ではJR貨物所属車が国鉄色に戻されたり、各イベントでも人気の機関車ですが、今や貴重な国鉄型電機の今後には目が離せません。
↓多種多様!EF65ファミリーの写真はこちら↓
■関連記事