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特集・コラム

実在の駅や観光地をモデルにしたプラレールがあった!?情景部品の奥深さとは?

2023.04.07

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は数あるプラレールの情景部品の中でも特に「実在系」のものにクローズアップ!既製品の色やステッカーを変え、実物に限りなく寄せている製品たちは、商品企画をした人のこだわりを強く感じるものばかりです。(編集部)


 プラレールの情景部品と聞いて、どのようなものが思い浮かぶでしょうか。遊んだ世代によって異なるかもしれませんが、概ねカラフルな色合いをした「駅」や「跨線橋」、「鉄橋」に「踏切」あたりが共通認識だと思います。そんな情景部品ですが、実は何も全てが架空のものというわけではありません。今回は「実在する場所の情景部品」に焦点を当て、いくつか紹介していきます。

↓実景がプラレールに!?本物の面影残る製品画像はこちら!↓

 実在する場所を情景部品として製品化した例は意外にも古く、1978年に発売された「新国際空港セット」で登場した「新東京国際空港」が初となります。線路・駅・道路・空港が一体になった情景部品で、空港連絡駅をイメージしたものでした。
 ただしこれは実在系とは言えるものの、空港のターミナルビルと管制塔を再現した架空の建物に「新東京国際空港」の看板を掲げただけというもの。実際の施設を忠実に再現したわけではありませんでした。
 そうした流れの中、1980年代半ばから90年代半ばににかけて、モノ自体は架空であるものの実在の駅名をステッカーで選べるようになった駅が登場します。これらの駅では、「東京」「新大阪」「盛岡」などの主要駅の駅名を選べることで、ユーザーの住んでいる地域に関わらず馴染みの駅をイメージして遊べるようになりました。

 90年代後半から2000年代にかけてプラレールの全体的なリアル化が進行したのを機に、実在系の情景部品もいくつか登場するようになります。「新交通ゆりかもめセット」(1998年)のゆりかもめの駅や、「新幹線&ふみきりセット」(2000年)の紅白の遮断桿を持った踏切など、既存の製品に手を加える事でビジュアル面でも実在する情景をそれらしく再現したものが現れます。
 2001年以降は「田舎の駅」をJR青梅線の古里駅にしたもの、「プラキッズ街の駅」を山陽新幹線の新下関駅に、近鉄湯の山線の桜駅にしたものが登場しました。
今回紹介するものも、既存の製品の色替えしたりステッカーで装飾することで実在する駅に仕立てたものになります。

▲江ノ電の「鵠沼駅」は「こうかえき」の色替え品。

 2002年6月に発売された「江ノ電 海の見える旅セット」は実在系の情景部品が3個も入っている意欲作でした。江ノ電500形がエンドレスのレイアウトを回るという、プラレールとしては標準的な内容でしたが、既存の「こうかえき」の色を変えて「鵠沼駅」に、沿線の観光名所として「江の島」「鎌倉大仏」が入っていました。駅はともかく、江の島と大仏の製品化はかなり話題を呼んだそうです。

▲情景部品「江ノ島」は小さいながらも、「湘南港」「青銅の鳥居」と2002年当時はまだ現役だった「旧江の島展望灯台」が再現されている。

 江ノ電沿線の名所である「江の島」は完全新規で製作され、大幅にデフォルメされていますが一見して江の島だと分かるものに仕上がっています。鎌倉大仏は後にも先にもない仏像の情景部品です。実際の大仏は青銅製ですが、プラレールでは灰色に成型されました。どちらも一発ネタで終わりそうな情景部品ですが、江の島は「江ノ電 電車とバスの旅セット」(2005年)、「江ノ電の小さな旅セット」(2010年)で仕様を変えつつ復刻、鎌倉大仏も成型色を青銅製に寄せて後者に付属する形で復刻しています。江ノ電には他にも実在系情景があり、品番付きの通常品として「鎌倉駅」が発売されていました。

▲「J-06 江ノ電 鎌倉駅」は「こうげんのえき」(1975~1992年)をリメイクした情景部品。特徴的な三角屋根を実在の駅に落とし込んだアイデア品だった。

 2003年に発売された「J-06 江ノ電 鎌倉駅」は全国販売の通常品としては珍しい実在系の情景部品でした。付属のステッカーで「江ノ島駅」「極楽寺駅」に変える事もできました。

 2003年9月に発売された「小田急箱根の旅セット」では「芦ノ湖」が製品化されました。この他、既存の情景部品である「ブロックビル」を小田急百貨店に、「パネルステーション」を小田急新宿駅に仕立て、小田急ロマンスカーで新宿から箱根に向かう様子をプラレールで表現した人気のセットになりました。

 実在系情景はこの他にもまだまだあり、「富士山」や「東京駅」「東京スカイツリー」などの有名どころから、変わったところでは田沢湖線の「大館中踏切」まで製品化されています。

 モデルが実在する場所である分、あまり頻繁には登場しない情景部品たちですが、国内の観光名所や特徴的な駅の製品化に今後も期待したいところです。

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