いよいよ本格的に普及し始めたデスクトップ3Dプリンタ。個人でも手が届く価格帯になる一方で、性能はより一層優れたものになっていています。プリンタ本体もまさにデスクトップに置けるサイズで、自身の工作スペースやパソコンの隣に配置することができます。ここではそんな高性能3Dプリンタの種類とその違いについて解説してきましょう。
↓光造形方式の出力手順&素材「レジン」の種類を見る!↓
■家庭用の主流は光造形方式!大まかな3Dプリンタの仕組み
3Dプリンタにはいくつか種類がありますが、家庭用のデスクトップ3Dプリンタでは光造形方式が主流となりつつあります。基本原理は上図のようにレジンタンクに注ぎ入れた「光硬化式レジン」に、その下部にある紫外線(UV)LED照射をさせることで素材を硬化。これを繰り返してミルフィーユのように積層して造形します。
LCDとは「Liquid Crystal Display」の略で、照射パネルとして使われている液晶ディスプレイのことで、このディスプレイに各層の断面形状が投射されスクリーンを形成。画像により遮蔽されていない部分だけに紫外線が透過し、造形物が形成(硬化・積層)されるといった仕組みです。
■3Dプリンタはどのくらいの解像度で出力されるの?
3Dプリンタの解像度はX・Y軸(左右)がLCDの解像度、Z軸(上下)はビルドプレートの上下の動作に依存します。解像度の数値が小さいほど高性能ですが、その分高価になりますので、そこはお財布との相談になります。
鉄道模型を造形するとなると、最低でも50μm程度のXY解像度があると満足いく造形になるかと思います。Z軸方向はどの機種でも10μm〜100μmで調節可能です。数値を小さくするほど高精細になりますが、積層回数が増える分時間がかかります。
■結局どうやって選べばいいの?光造形式3Dプリンタの選び方
光造形方式の3Dプリンタは現在色々な機種が発売されており、価格も数万程度のものから30万円以上するものまで様々です。各社1年毎にモデルチェンジを繰り返しており、その性能も日進月歩。ここでは値段の差がどのような機能に反映されるかを説明します。
●出力サイズ
プリンタ本体が大きいほど出力サイズ(造形可能範囲)が大きくなる傾向にあり、その分価格も高くなります。床下機器や小物パーツを出力するだけなら小型の機種でも十分ですが、16番の車体など大きい造形物の出力を考えている方は、Z軸の可動範囲が車体の全長より長いものを選ぶ必要があります。また、出力サイズが大きい機種の場合、解像度が低めのLCDを搭載している場合も多く、用途に合ったサイズやスペックを選びましょう。
●UV照射用LED
UV照射用LEDの出力が大きいと、レジンが硬化するまでの時間が短くなり、造形スピードが向上すると共に、パーツの「太り」が」軽減できるためよりシャープな出力ができます。中にはLED出力の記載がない製品もあるので、その場合は「造形スピード」を参考にすると良いでしょう。
●LCD(液晶パネル)
解像度の高いLCDになるほど値段は上がります。現在の主流は4Kとモノクロです。4KとはX・Y軸の解像度が50μm辺りのものを指します。モノクロLCDは従来のRGB式よりLED照射の透過量がおよそ3倍多くなったことで、より多くの光をレジンに当てて造形スピードが上昇しシャープな出力が可能となっています。せっかく新調するのであれば、モノクロ4Kか近年主流となりつつある「8K」を選択すると良いでしょう。
また、現在流通してい3Dプリンタ製品のほとんどは台湾・中国製です。そのため日本代理店を経由しての購入となります。機種選定はもちろん、消耗品の販売や国内でのアフターケアが充実した代理店を選ぶのもプリンタ導入時に重要なポイントとなってきます。
■光造形方式の主要素材「レジン」の種類とは?
光造形(LCD)方式3Dプリンタは、液体樹脂であるレジンを使用します。レジンには大きく分けてアルコール洗浄タイプと水洗いタイプの2種類があります。アルコール洗浄タイプは造形後IPAや無水エタノール等での洗浄が必要で、その後の廃液処理が大変です。その問題を解決したのが「水洗いレジン」で、出力した造形物を水道水で直接洗い流せるため、後処理の心配が不要で簡単に作業が進められます。性質的には大差はないものの、細かいところで差があるので、使用しながらレジンの特性を知り、適正値を探る必要があります。下記にて様々な種類のレジンを画像と説明をつけた上で紹介しているので、そちらも併せてご確認ください。
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