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リアルすぎる魅力的なリベット表現!こだわりが伝わるプラレールの「鉄橋」とは?

2023.02.17

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回はプラレールの歴代「鉄橋」にクローズアップ!いずれの製品も他の情景製品と比べて、かなりリアル寄りのこだわった造形を持っているのが特徴です。大人顔負けの細かく美しい造形を持ったプラレールの鉄橋たちをご覧にいれましょう。(編集部)


 鉄道風景を作り上げるために様々な情景部品が用意されているプラレールですが、実におもちゃらしい外見をしている「駅」や「信号機」に対して、「鉄橋」はレイアウトにインパクトを与えるものであるからか、初期の頃から造型にかなりこだわった製品が発売されていました。カラーバリエーションは多々ありますが、基本的には全て赤色で統一されています。今回はそんなこだわりの造型を持つ、トラス橋とガーダー橋を紹介してきます。

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▲プラレールきってのレア情景「プレートガーター」

 主に河川の横断や、線路同士、道路と交差する際に用いられるガーダー橋。正式な呼び方は「ガーダー」ですが、プラレールでは今に至るまで「ガー“タ”ー」と表記されています。子供がしやすい発音を選んだのかもしれません。

 この「プレートガーター」は1975年に発売され、翌年には絶版となってしまった短命情景です。山岳路線の再現などにぴったりで、今でも探している人が多い旧製品として知られています。レールが両面にあり、表にすると側壁のあるタイプ、裏にすると線路の下に桁のあるタイプになり、レイアウトの雰囲気によって使い分けができるのが嬉しい作りです。ただし裏面にすると「橋げた」に設置できないという、ちょっと残念なところがあります。
 側壁の内外にある補強はもちろん、側壁上部のリベットまで表現されており、なかなかの高グレード。絶版になったのが惜しい情景部品のひとつです。「プレートガーター」の絶版以来、長らくプラレールの世界にガーダー橋が存在しない時期が続きましたが、2007年に1/2直線レールと同じ長さの「ガーター橋」が発売されています。ただ、こちらも2014年に単品が絶版となっており、2023年現在ではカラーバリエーションをセット品で入手できる程度です。

▲上から傑作の橋りょう情景「だいてっきょう」、1981年発売の「大鉄橋」、旧タイプの「鉄橋」。

 1973年に発売された「だいてっきょう」は、両端にガーダーが付き、中心部がアーチを描いた直線レール2本分の長さを持つ大型の曲弦トラス橋です。こちらも山岳路線の風景にぴったりで、蒸気機関車の貨物列車などがよく似合う印象があります。実際に1973年発売のセット「D-51だいてっきょうセット」、と1974年発売の「D-51りったいだいてっきょうセット」に同梱されており、メーカー側も蒸気機関車と合わせるために開発したんだろうなと思えてきます。

 トラスの接合部のリベット表現が全体の印象を引き締め、上部から下部に伸びる「鉛直材」のトラス構造を抜き造型で表現しているのが素晴らしいです。中心部にも「橋げた」が必要な2スパン構造なのも程いいデフォルメになっており、置くだけで鉄橋の下を川が流れる情景が浮かんでくるようです。
 前後のガーダー部分は、初期品では写真のような垂直型でしたが、後期品では斜め切りに改良されており、車両が衝突して止まってしまう恐れを軽減してあります。1981年に絶版となり、後継品の「大鉄橋」が発売されました。

 曲弦トラスの「だいてっきょう」は都心部の鉄道で目にする事が少ないからか、1981年に垂直材付きのワーレントラス「大鉄橋」に置き換わりました。アーチ橋ではなくなりましたが、その重厚感は健在。地方の幹線や、都内でも私鉄路線で見られる構造になりました。リベット表現も、鉛直材のトラス構造も健在です。
 こちらは比較的長期間ラインナップに乗り続け、1997年に絶版。以後は造型を簡略化した「ニュー大鉄橋」(1997〜2010年)、「大きな鉄橋」(2010年〜現在)と、直線2本分の鉄橋の系譜が受け継がれています。

 続いては現行品で小型アーチ橋の「小さな鉄橋」と、旧製品の「鉄橋」。プラレールの鉄橋と言えばこちらをイメージする方も多いのではないでしょうか。これらの鉄橋も、小さいながらもトラスの接合部にリベット表現があり、重厚感を演出しています。

▲C12形が牽引する急行便貨物。

 やはり鉄橋を渡らせると様になる蒸気機関車の貨物列車。こういったアーチ橋の場合は短い編成の方が似合う気がします。

 この他に、ガーダー部を持たないアーチ橋もセット限定品ではありますが存在しています。長い目で見ると複数のバリエーションがあり、造型もこだわったものが多いプラレールの鉄橋。2023年現在は、全高が低くなり数段に重ねる事が可能になった「大きな鉄橋」と、小型のアーチトラスである「小さな鉄橋」の2種類が発売中です。

 時代の流れに沿って造型が簡略化されたり、鉄橋のバリエーションが減ったとしても、今でも赤色に成型されて発売され続けているのがプラレールらしいと思います。

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