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特集・コラム

63年間変わらぬ規格のプラレール!?親子3代差離れた製品は一緒に遊べる?

2023.01.20

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は発売以来、レールの規格が変わらないプラレールという製品の特徴に注目し、親子3世代差離れた現代と過去の製品は果たして一緒に遊ぶことができるのか、検証してみました!


 プラレールが発売されたのは今から63年前、1959年のことです。車両や情景部品はその時代ごとに変化してきましたが、レールだけは改良を加えられながらも1959年当時の規格が2023年現在も採用され続けています。即ちプラレールは親が持っている古いものと、子供が今日買ってきた最新のものを繋げて遊べる…ということになります。今回は、実際にレール・情景部品・車両の年代をバラバラに混ぜて、ちょっとしたジオラマを組んでみました。

↓「親子3代」の組み合わせ!その他の画像はこちら!↓

 現在のプラレールを象徴するかのようなリアルかつ実用的なレール「駅用プレートレール」が含まれているセット「DXレールキット」。まずはこれを用いて、昔の製品を組み合わせてみます。

▲昭和・平成・令和のプラレールを混ぜた駅ジオラマ。

 最初に組んでみたのは国鉄型配線と呼ばれる2面3線の駅。レールと手前の駅は「DXレールキット(2022年発売)」から、奥の駅は「ライト付えき(1980年発売)」、跨線橋は「ドア開閉通勤電車 切符ごっこ駅セット(1988年発売)」から、車両は「とうかいがたきゅうこうでんしゃ(1975年発売)」と「S-50 E531系常磐線(2015年発売)」を組み合わせてみました。時代設定も色彩も全くのバラバラですが、そこはプラレール。なんとなくしっくり来るのが面白いです。

▲どちらもセット限定のカラーリング。黄色い跨線橋は特に珍しいとされている。

 実はこの駅と跨線橋では年の差が34年もありますが、それぞれ近い配色の製品を選んで組み合わせることで製造年の違いから来る違和感を軽減させてみるのも、こういったジオラマを組む時の工夫の一つです。この場合ですと駅の屋根色と跨線橋の本体色を黄色で合わせています。次はもっと年の差を広げて、1960年代と2020年代の製品を合わせてみます。

▲「DXレールキット」のリアルなグレーのレールと、黄色とオレンジが眩しい1960年代発売の「えき」で島式ホームを組む。

 これは…どうでしょうか。駅周辺の設備のみ更新されて駅自体はあまり手が加わっていないような、少し古い駅のような印象を受ける組み合わせになりました。ベンチと駅名標だけの最低限の設備を再現した簡単な駅と、スラブ軌道や枕木、線路横の機器類をモールドで再現した駅用プレートレールのアンバランスさが、よりプラレールらしさを出していると思えます。

 さて、続いては情景部品を組み合わせる以外の例として、今では廃れてしまったレイアウトの組み方を使ってみることにしましょう。

▲「90°きょくせんレール」を「PC橋脚」に乗せる。架線柱の置き方が不思議に見えるが、実は公式の方法。

 2008年に登場した「PC橋脚」と、1975年に発売された「90°きょくせんレール」を組み合わせて高架線を作ってみます。下には1982年発売の「基本NO.2セット ライト付ひかり号」の車両と駅を用意。今となっては東京〜品川間で顔を合わせる常磐線と東海道新幹線で年の差レイアウトを表現しています。
 架線柱の置き方が宙に浮いたようで不思議に見えますが、これは黄色い「ブロック橋脚」が開発される前のプラレールにおける高架線での公式な置き方。「ブロック橋脚」発売後は行われなくなった、古のレイアウトテクニックです。
 「90°きょくせんレール」は硬質プラスティックを使ったレールで、単品の付属品にある「レールおさえ」と呼ばれるパーツをジョイント部分に使うことで橋脚を自由に配置できるようにしたレールです。写真では見えにくいですが、2番目の架線柱の後ろに「レールおさえ」を使っています。

▲2022年発売の「京成電鉄3000形」と1975年の情景部品「信号所」「洗車場」を合わせる。

 最後に、ギラギラした銀色の車体が眩しい「京成電鉄3000形」と、1975年にセット品でデビューした「信号所」「洗車場」の車庫設備の組み合わせ。現代では鉄道設備として馴染みが薄くなってしまったために絶版となってしまった「信号所」ですが、プラレールの世界においては車庫を作る際に使う人がまだまだ多い印象のある情景部品です。「洗車場」は2023年現在でも販売中ですが、写真では往復プラレールのリターン機能が付いている旧製品を使っています。この2製品はカラーリングからおもちゃらしい印象を受けますが、よく見ると1975年の製品にしてはモールドがリアル寄りに表現されています。遊びながら鉄道設備のイメージを学習できるという、メーカーの設計思想が取り込まれた素敵な情景部品です。こういったこだわりの設計も、新旧製品を組み合わせた際の違和感を感じさせない要因であると考えられます。

 今や親子3世代で遊んだことがあるであろうロングセラーのおもちゃ、プラレール。今後の発展にも期待したいところです。

↓「親子3代」の組み合わせ!その他の画像はこちら!↓

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