photo:Studio EVO(特記を除く)
車体のカラーリングは、車両の個性を象徴するポイントのひとつです。登場からある程度時間が経つと、イメージを一新するためにリニューアルされたり、期間限定の特別色が設定されたりと、長く運用されている車両ともなると、元はいったいどんな色だったのか、すぐには思い出せないなんてことも。
そんな車体色について、鉄道開業150周年の今年を象徴するキーワードとして挙げるとすれば、「リバイバル」ということになるのではないでしょうか。登場時のカラーに戻されることが主ですが、いまだに強いイメージを持つかつての名車両をモチーフとした色に変更されることも増えています。
そこで今回は、復刻カラーで走っている(一部走っていた)を中心に、車体カラーの変遷を振り返っていくことにしましょう。
リバイバルカラーの車両たちの写真はこちら!
まずは今年度で定期運用の終了が発表されているJR北海道のキハ183系。近年は薄いグレーの車体に青い差し色の組み合わせが標準色でしたが、「いまこそ輝け! 北のキハ183系」キャンペーンの一環として、2両が国鉄キハ183系500番台が1986年デビュー当時の復刻カラーで運行されています。
また、10月に引退したJR北海道のキハ281系は、試作車のキハ281-901のみが登場時に施されていた「HEAT281」のロゴとグレーのスカートに戻されていました。
続いて、こちらも大きな注目を集めたのが、鉄道開業150周年事業の一環として、東北・上越新幹線開業当時の200系新幹線のカラーリングとなったE2系です。クリーム色の車体に緑色の帯、そしてスカート部分も緑とされ、「なつかしのあおば号」「東北新幹線開業40周年記念号」といった記念列車として走りました。定期運用にも入っていることから、目にした方も多いのではないでしょうか。
さらに、大宮→盛岡間で運行された「東北新幹線開業40周年記念号」では、上野→大宮間に「新幹線リレー号」も設定されました。185系には当時を彷彿とさせるヘッドライトから側面に回り込むように緑の帯が続くカラーリングが施され、沿線には多くのファンが訪れました。
特急「やくも」の381系に採用された国鉄特急色も、大きな話題を集めたリバイバルカラーのひとつと言えるでしょう。「やくも」には薄紫を基調とした「スーパーやくも」色や緑と黄色い帯が特徴のリニューアル色、そして近年は大山の雪を表す白と出雲大社の巫女をイメージした赤を組み合わせた「ゆったりやくも」色など、様々なカラーバリエーションがありますが、やはり初代を思い出す国鉄特急色の存在感は格別です。
「やくも」は2024年度より新型特急車両を導入することが発表されているため、381系も順次引退していくことになります。国鉄の時代を色濃く残す「381系×国鉄特急色」が走る姿を見られる時間もそう長くはないのではないでしょうか。
一方、私鉄でもリバイバルカラーは各社から登場しています。
東武鉄道は100系&200型がデビューから30周年を迎えたことを記念して、「特急リバイバルカラー車両企画」を展開中。100系スペーシアの1編成を1720系デラックスロマンスカー(DRC)カラーにして運行しているほか、「りょうもう」用200型のうち2編成を急行「りょうもう」1800系を思い起こさせるローズレッド×白帯に変更しています。
西武鉄道も101系のうち2編成をオリジナルカラーのレモンイエロー×ウォームベージュに変更して運用し、京成電鉄は3600形を登場時のファイヤーオレンジ帯に戻しましたが、これは25年振りの復活です。
今回ご紹介した以外にも、リバイバルカラーの車両が各所で活躍していますし、今後も登場することが期待されます。ただ、リバイバルカラーになるということは、言い換えるとその車両の引退が迫っているということでもあります。残された時にさらなる輝きを与えられたリバイバル車両たちを目に焼き付けておきたいものです。
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