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「特雪」を永遠に手許に…除雪車DD14に似合う雪景色をNゲージで作ってみた。

2023.01.04

text & modeling & photo:佐々木 龍

 豪雪地帯の守護神的存在である「特雪」ことロータリー式除雪列車。豪快に雪を掃き飛ばすその姿は、多くのレイルファンを魅了してきました。かく言う私もそのひとりで、学生時代は単位を取るか除雪列車を撮るかで心が揺れたものです。 そのロータリー式除雪車も、今となっては新型除雪車の登場により、信越本線を最後に姿を消しました。(青森に1両DD14が保留車として残るが、近年出動記録なし)。そんなDD14の除雪風景をいつまでも手許に残すべく、専用のジオラマを製作し再現してみました。

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■ロータリー式除雪列車とは

 車両建築限界をゆうに越える幅のウィングを広げ、雪を掃き出すその姿から、ロータリー式除雪車はラッセル車で対応しきれない雪を取り除く役割で出動すると思われがちですが、実際はラッセル車で掻き出した雪が線路上になだれ込まないように、「段切り」と呼ばれる雪壁を作ることを目的とし開発されました。段切りとは雪の壁を階段状 にし、雪崩を起こしにくくする処置のことです。ロ ータリー式除雪列車が走り抜けた後の線路脇には、きれいな階段状の雪壁が完成しています。

■ジオラマについて

 信越本線のDD14の有名撮影地のひとつ、関山~妙高高原間をモデルにジオラマ化しました。 A3の木製パネルをベースにスタイロフォームで地形を作り、紙粘土で整地しています。肝心の段切りは、治具を作り紙粘土で成形しています。 この後、モーリンの「雪職人4号」で雪を降らせました。この「雪職人」は、雪となるスノーパウダ ーとマットメディウムと呼ばれる無光沢のボンドのセットで販売されているものです。雪山などはスノーパウダーとマットメディウムを水と一緒に溶き、ある程度粘度を保った状態にしてから、絵の具のように紙粘土の上に筆で数回重ね塗りしました。 走らせることを想定しないジオラマなので、線路上も通電箇所(ライト点灯用)を除いて雪職人で 埋めています。仕上げにマットメディウムが固着する前にスノーパウダーを全体にまぶして完成です。

■車両について

 DD14は1両で2基のエンジンを有しています が、除雪作業をする際は大抵2基のエンジンを除雪用にフル活動させます。そのため、補機を携えて除雪作業を行なう場合が圧倒的に多くなります(単機での除雪も可能だが、その際は出力の関係で5km/hしか出ない)。補機にはDD13や DE10が多く見られましたが、電化区間では ED78等が補機に付いた例もあります。また、複線区間を有する路線では、DD14を後補機として従える「背向重連」と呼ばれる組み合わせも見られます。往復して除雪を行なう際には、機回しをせずに済む効率の良い運転方法です。 モデルとした信越本線も、妙高高原~黒姫間では複線区間となるため、背向重連を採用しています。実車では黒姫方は前方投雪型、直江津方は側方投雪型と厳密には形態が違いますが、ジオラマで除雪作業をする車両は前方投雪型となるため、モデルはマイクロエースの前方投雪型のセットで代用しています。 車両の加工はウェザリングのみで、その内容も雪の付着のみとしました。付着具合はその日の天候に左右されますが、模型では雪の日を想定し、キャブの屋根などにも雪を積もらせていま す。付着方法は雪山と同じ「雪職人」を使用し、 ラッセルヘッドの上やキャブの上は降りしきる雪が積雪するイメージなのでマットメディウムを多めに溶き、ふんわりしたイメージで付着させました。 一方、ウィングは雪を掻き切るため、固めの雪が付着します。これはマットメディウムと水の分量を多くし、固めの雪を再現したつもりです。また、エ ンジンルーム周りは熱を帯びているせいか、雪は積もらないようです。余談ですが、エンジンの効率を上げるために、エンジンルーム横にあえて雪を載せた状態で運転をしたこともあるそうです。

■終わりに

 1:1の本物ではなく、今回はこのようにスケールは1:150とかなり小さくなってしまったものの、こうしてDD14を撮影できたので、満足できる結果となりました。

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※こちらの記事は『RM MODELS 224 2014年4月号』の記事から抜粋しており、情報は当時のものとなります。あらかじめご了承ください。

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